「疲労時に視界が狭くなり、盲点が現れる。視神経の病気です。進行を止められない眼の疾患で、頭痛や吐き気などを伴い、最悪の場合‥失明に至ります。」
「ただ適切に治療していけば、進行を遅らせる事ができるから、一般的には失明までは心配しなくて大丈夫。モデル活動や日常生活は、問題なく送れるよ。」
「あの‥サッカーは?」
「‥趣味の範囲で、スポーツとしてなら問題はないけど、進行していく中で同じようにプレーを続けていくのは、正直難しいとは思う‥残念だけど、プロの道は厳しいと言わざるを得ない。」
…なんで、俺なんだよ…
「先生‥俺なにも‥悪いコトなんかしてないよ‥?サッカーで、世界一になりたいだけなんだ‥」
…なんで、奪うんだよ…
「おかしいよ‥こんなの‥嫌だよ‥俺‥」
…他には、何もいらないから…
「俺の夢‥返してよ。」
『ブルーロック』医師と雪宮の会話、そして、雪宮の言葉と脳内言葉です。
「癌」が、日本人の死因の1位である事は、誰もが知る所です。
現在の日本においては、2人に1人が「癌」になり、4人に1人が「癌」で死にます。
「癌」は、日本人の半分が掛かる国民病です。
日本人は「癌」は、死に至る恐ろしい病であるというイメージを抱いています。
しかし、それは昔の事で、医療の進歩により「末期癌」「進行癌」以外の殆どの「癌」は治る時代になっています。
6割の「癌」は治り、早期発見であれば9割の「癌」は治ります。
私の身体にも、あなたの身体にも「癌細胞」があると言ったら、驚くでしょうか?
「癌」は、私達の身体を構成する「細胞」の病気です。
「正常細胞」が突然変異した「癌細胞」という狂った「細胞」が、無秩序かつ無限に増殖し、身体の至る所に転移します。
その結果「癌細胞」に栄養を横取りされ「正常細胞」が破壊されて機能不全に陥り、やがて「宿主」である人間が死亡する。
これが「癌」により人間が亡くなるメカニズムです。
実は、私達の身体内では、毎日数千の「癌細胞」が誕生しています。
その理由は「正常細胞」が「細胞分裂」する時、コピーミスが生じるからです。
これにより「癌細胞」が発生します。
私達の身体内には、37兆個の膨大な数の「細胞」があります。
その「細胞」が「新陳代謝」の為、毎日6,000億回の「細胞分裂」をします。
その「細胞分裂」の中で、100万回に1回程度の確率で、コピーミスが生じます。
「癌細胞」が毎日数千誕生していると聞くと、恐ろしい気がします。
しかし、私達の身体は良く出来ており、コピーミスの「細胞」は、大半がすぐに死滅します。
その中でも、ごく一部のコピーミスの「細胞」は生き残り、その生き残りが「癌細胞」の元祖となります。
「癌細胞」の元祖を、殆どが生き残る事は出来ません。
身体の防衛部隊である「免疫細胞」が、すぐに発見をし、抹殺してくれるからです。
ただ、不幸にも「癌細胞」が「免疫細胞」の強固な防衛網を掻い潜り、増殖してしまうと「癌」が発生してしまいます。
「DNA]が損傷すると「癌細胞」が発生しやすくなります。
「DNA」は「発癌物質」や「ウイルス感染」といった、様々な原因により、傷つきます。
長生きしていれば「DNA」の傷が蓄積され「癌」も発症しやすくなります。
さらに、加齢とともに、頼みの綱である「免疫細胞」の働きも、低下していきます。
「癌細胞」は、元々病原性の「ウイルス」や「細菌」等と異なり「免疫細胞」にとって極めて厄介な敵です。
その理由は、私達自身の身体内で「正常細胞」から生まれる為、身体の「異物」として見分けるのが難しい為です。
「免疫細胞」の識別能力が衰えてしまうと、ただでさえ、捕まえにくい「癌細胞」を取り逃がすケースが増えていきます。
つまり、人間は老いれば「癌」を発症しやすくなるのです。
女性特有の「癌」を除けば「癌」とは、一種の「老化現象」と捉える事も出来るのです。
55歳:4%
65歳:15%
75歳:33%
男性の年齢別の「癌」罹患率です。
日本は「癌」の罹患率・死亡率ともに、世界一です。
しかも、罹患率・死亡率ともに、上昇の一途を辿っています。
世界一の癌大国という不名誉な称号が与えられていますが、これは、翻せば、世界一の長寿国であると捉える事も出来ます。
とはいえ「癌」死亡者が多くの先進国で減少しているのに対し、日本においては増加の一途を辿っている事は、見逃す事が出来ない現実です。
これは、日本の「癌」対策に、大きく欠けている点があるからです。
私は、その理由の1つに、日本人の「ヘルスリテラシー」の低さがあると考えています。
この続きは、また後程。