いずれ家族という小さな舞台を卒業し、地球という大きな舞台で活躍する。きっとそれが自然だ

 

 「あ、あのさ、友達に遊びに誘われたんだけど、行っても…いいかな?」

 「え~節目の日は、家族でいたいのに。」

 ‥両親は、特に母さんは、俺をめちゃくちゃ心配してくれている。俺の使命の日が未だ来ていないから。生き残れるか、分からないから。‥

 ‥使命の日と地球の怖さを知ってるからこそ、出来るだけ長く家族で一緒にいたい気持ちは、痛いほど分かる。友達と遊ぶなんて普通の事より…その気持ちに応えなきゃ。‥

 

 「…でも、いいよ。衛も、もう中学生だもんね。実は、令助と私達ちょっと過保護かなぁなんて話してたの。」

 「え…いいの?」

 「だけどさ…おまえ自身の口から卒業式も任務も両方やるって言ったの聞いて、自分で考える大人になってるなって感じたんだ。」

 「お前は、オレ達の分身でも所有物でもない。オレ達に従い続ける必要なんかないよ。いずれ家族という小さな舞台の主役を卒業し(巣立っ)て、地球という大きな舞台で活躍する。きっとそれが自然だ。大丈夫。その程度で、オレ達の絆は壊れない。お前の念動力は強くなり続けているのが、何よりの証拠だ。」

 「だから、安心して行ってらっしゃい。家で待ってる。」

 「行ってきます。」

 『地球の子』澤田衛と母の会話、衛の脳内言葉、母と衛、父の会話です。

 

 

 親離れ・子離れが出来ない人が、年々増えている印象を受けます。

 私は、高校を卒業したら、1人暮らしをした方がいいという世界観を持っている為、20代・30代になっても、親と一緒に生活をしている人が持っている世界観とは大きく異なる世界観を持っていると思います。

 物価は上がり続けるのに給料が上がらない国・日本であれば、実家に住み続けた方が楽である部分は大きいです。

 経済的には勿論、家事もやらなくて済みますし、家族がいる事で孤独を感じないかもしれません。

 

 

 しかし、そのような甘酒のような生温い心地良さが、親・子ともに、徐々におかしな化学反応を起こし、歪な関係を構築していく事も珍しくありません。

 たとえば、家族間の殺人事件や虐待等は、ほとんどの場合、同居の家族間で生じます。

 1年ぶりに帰省した息子や娘が、突然家族を殺す事も、突然虐待を始める事もありません。

 

 大人になれば、語りたくない事の1つや2つ、誰もが、持ち合わせます。

 パートナーであれば、語りたくないような局面にも一緒に向き合い、一緒に乗り越える事が必要です。

 結婚に向かない人は、そのような局面と向き合う事が出来ない人です。

 しかし、そのような局面を、大人となった子どもが、父親や母親と一緒に向き合い、乗り越える事は発達段階・成長過程等からみても、異常と捉えられます。

 そのような事は放っておくと、複利となり、何倍もの苦しみとなり、いつかあなたに襲いかかります。

 そのような事の積み重ねが、殺人や虐待等、理解出来ない行動に誘ってしまう事もあるのです。

 

  ①家事を何もしないで1日が終わる

  ②いい子の殻が破れない

  ③反抗期がなかった

  ④出来る事しかしない

  ⑤1人になる事が怖い

 

 上記が親離れが出来ない人の特徴です。

 そして、意外にも、親からの愛情を受けられなかった事も、親離れが出来ない人の特徴に挙げられます。

 幼い頃、親の愛情を十分に受けられなかった場合も、親離れが難しいのです。

 愛されたい親に愛されているのか不安に感じ、その不安から逃れる事が出来ない為、親離れが出来ないという雁字搦めの心理が働くのです。

 親の愛情を受けられなかった事は悲しい事ですが、それは自分自身の問題ではなく、親の問題なのです。

 そのような親の元からは飛び出し、自分の存在や価値を認めてくれる相手を探しましょう。

 

 

 「…衛も、これから自分の家庭を持つのかな?」

 「持っても良いし、持たなくても良いし、どっちの生き方も素晴らしく出来ると思う。衛が幸せなら、オレ達はそれだけで幸せだ。」

 「ちょっと寂しいけど、私達が悲しい顔してたら、衛が安心して幸せになれないもんね。」

 再び『地球の子』母と父の会話です。