…一日に何度も繰り返す そのことば もしかしたら「こんにちは」よりも 多いくらい そのひとの疲れに「お」をつけて 「さま」までつけて 「おつかれさまです」と声かける ぼくらの日々…
…やさしくて 強くて 一生懸命で 生きることはただそれだけでも大変で その愛も仕事も大切で 頭を下げて 「おつかれさまです」といいかわす ぼくらの国…
斉藤和義『おつかれさまの国』の歌詞です。
「今日は疲れているので、休ませてください。」
上司や同僚、部下等から、このような連絡があったとしたら、あなたは、どのような反応をしますか?
日本は、学校を1日も休まなかった人を表彰する「皆勤賞」まであり、学校や会社に行く事自体に価値を置く社会です。
これにより、ただ会社や役所等に行くだけで、何の成果を上げていない大人を大量生産してしまった事と成果を上げていない人を辞めさせる事が出来ない労働基準法のコンボが、日本人の生産性が低い事の要因であると、私は考えています。
上記のような世界観とは異なる世界観を持つ人も増えてきたものの、いまだに、休む=怠ける事であるという考えを持っている人が多いです。
「体力-疲労=出せるパフォーマンス」
「フィットネス疲労理論」と呼ばれる、スポーツの世界では、よく取り上げられている公式です。
あなたの朝の体力が、100だとします。
その後、会社に出勤し、仕事をして、30の疲労感を感じたとします。
上記の公式に当てはめれば、今のあなたが出せるパフォーマンスは「100-30=70」となります。
つまり、疲労があれば、その分、パフォーマンスは、落ちるのです。
アスリートには、トレーナーがついており、本番で最大のパフォーマンスを出す為に「フィットネス疲労理論」を取り入れており、疲労を決して軽視しません。
しかし、アスリートではない「おつかれさまの国」で働く人々には、トレーナーはおらず、あなた自身も、仕事の上司・同僚・部下も、誰もが、疲労を軽視しています。
仕事をしている100,000人を対象に、疲労に関する調査をしたところ、約8割の人が、疲労を抱えながら生活をしているという結果が出ました。
現在から25年前の1999年に同様の調査をした時には、疲労を抱えながら生活をしている人は、約6割でした。
この25年間において、疲れている日本人は、2割も増えたのです。
しかも驚くべき事に、若い人程、疲れているのです。
最も疲労を抱えているのは、20代・30代女性で、約9割の人が、疲労を抱えながら生活をしていました。
これに対し、最も疲労を感じていないのは、男女とも70代の人達でした。
この事より、疲労には、体力的な要因よりも、心理的要因や社会的要因が、大きく影響しているという仮説を立てる事が出来ます。
「お疲れ様」を英語に訳すと「Thank you hard work.」となります。
仕事においては「おはよう」「こんにちは」等という挨拶の代わりに「お疲れ様」と声を掛ける事が多いのではないでしょうか?
私が大学生の時に所属していたサッカー部においても、大学内で、他の部員と会うと「お疲れ」という声掛けをしており、私は、この声掛けが納得出来ませんでした。
その理由は、勉強も、バイトもあまりせずに、実家で暮らしている者同士は、疲れていないだろうという考えからでした。
私の考えはさておき、日本人には「お疲れ様」という言葉は、定着しています。
この文化を考えると、日本人の間には、疲れているのが当たり前という共通認識があるのかもしれません。
「働かざる者、食うべからず」等に代表されるように、休まずに働く事や、一生懸命働いているように見られる事が、美徳であるという世界観が、強く根付いているのが日本社会です。
休んでいても、一生懸命でなくても、実績を出す事が出来れば、働き方等、どのような方法でも良いと、私は思いますが…。
英語の挨拶は「How are you?(調子どう?)」です。
これであれば、調子が良かったら「I am good.」調子が悪かったら「I am not good.」等と答える事が出来ます。
しかし、先に「お疲れ様」と言われてしまうと、疲れているや調子が悪い等と、中々言い出しにくくなります。
私は「お疲れ様」という言葉が、日本人の疲労を促進しているという仮説を立てています。
私は、アスリートよりも「おつかれさまの国」で日々仕事をしている人達の方が、疲労が溜まると考えています。
やらければいけない仕事や家事があり、これに子育てや介護等も重なり、自分の時間を取る事等出来ず、給料は上がらないのに日々物価は上がっていく社会において、毎日お金の事を考えなければならない。
それなのに、アスリートには、トレーナーがいるのに「おつかれさまの国」で仕事をしている私達には、トレーナーがいません。
家族が「少し休んだ方がいいんじゃない?」等とは言ってくれるかもしれませんが、プロとして、疲労を分析し、アドバイスをしてくれる人はいません。
その為、あなた自身が「しっかり休んで疲労回復をしてから、仕事をした方が、パフォーマンスは上がる」という理解の下、自分で疲労をコントロールする必要があります。
では、どのように効果的な休みを作っていけばいいのでしょうか?
この続きは、また後程。