ー前略お母さん 俺はクラスの皆に並べられるよう毎日なるべく発言したり、会話をしたりしています。たくさん話すと衝突することもあります。でもぶつかり合うと、より気持ちを理解できる時もあります。俺の友達は自分の為だけじゃなく、他人(ひと)の為にも怒ったり泣いたりしています。俺もそうなりたいです。大変だけど、頑張るよー
…おれの原点(オリジン)。こんな簡単な事だったなら、もっと早くにぶつけられていたならーぶつけたい事、言いたい事、まだあるんだ…
『僕のヒーローアカデミア』轟の母に宛てた手紙と荼毘の脳内言葉です。
溜まった感情は、メールの受信ボックスに似ています。
感情を経験するとは、身体からメッセージを受け取り、それが1つずつ積み重なっていくようなものです。
メッセージを1度も開かなければ、通知が何千個も溜まり、生きていくのに必要な重要な情報や大切な洞察を見落としてしまいます。
だからといって1日中、パソコンの前に座り、メッセージが来る度に反応をしていては、仕事になりません。
事実、メール確認の頻度が高い人程、鬱病になりやすいというデータもあります。
感情を自分の意思でどうにか出来るものであるという決めつけは、間違いです。
感情は、自然に湧いてくるものなので、私達は感情を自分の意思で拒否する事は出来ません。
しかし、人は感情を回避する達人の為、あの手この手で感情を回避しようとします。
物理的に麻痺するような薬物や性行動、買物や食事等で気を逸らしたり、自分ではなく他人の失敗や落ち度に注意を向ける投影や批判等、世の中にはありとあらゆる気晴らしが存在します。
このようなやり方に継続的な効果がない事は、あなたも理解出来るはずです。
溜まった感情は、そのうち詰まりを起こします。
詰まりを起こすと、行動する事が出来なくなり、世界に出る事が怖くなり、やがて鬱病等の精神疾患を患ってしまいます。
ここには、魔法のような神秘的な事実はありません。
感情は、身体を使った経験なのです。
私達は、定期的に身体から様々なものを洗い流しています。
便を出し、汗をかき、涙を流し、1カ月に1度全身の皮膚を落とします。
感情も同じです。感情も、放出する必要があります。
表現されない感情は、身体に閉じ込められます。
感情には、運動要素と呼ばれるものがあり、感情が湧いた瞬間に、筋肉を活性化させるのです。
そして、感情が生まれたもののきちんと表現されなかった身体の部位に、痛みや緊張が溜まります。
恐怖は胃で感じ、心の痛みは胸で感じ、ストレスや不安は肩で感じ、人間関係の問題は首で感じます。
自分の身体に痛みを感じたら、病気を疑うとともに、閉じ込めている感情がないか探っていきましょう。
子どもや高齢者等でない場合、多くの場合の身体の痛みは、感情が原因である事が多いものです。
感情を感じ、その度に正直にその感情を表現していては、社会生活が出来なくなってしまいます。
しかし、それでも感情を表現する事が必要です。
言葉を変え、場所を変え、人を変え、自分の感情を表現する事に心掛けてみて下さい。
そうする事で、あなたの胃の痛みも、胸の痛みも、肩の痛みも、首の痛みも、和らぐ事を約束します。
「ーみんな死んじまえ。クソ親父、死ね…みんな…俺も…死んじまえ。」
「…悪かった…瀬古杜岳行かなくて…ごめんな…」
「…大嫌いだ…お父さんなんか…家族なんか…」
「ああ…聞かせてくれ…もっと…冷、追い詰めてごめんな…冬美、全部押し付けてごめんな…夏雄、放ったらかしにしてごめんな…焦凍、ごめんなァ…」
『僕のヒーローアカデミア』荼毘とエンデヴァーの会話です。