「この世には、人知ではうかがい知れない神秘が存在する。素数の表を一目見ればよい。そこに秩序も規則も存在しないことに気づくだろう。」
スイスの数学者オイラーの言葉です。
アメリカには、正確に13年若しくは17年ごとに羽化する変わったセミが存在します。
13と17はどちらも素数である事から、素数ゼミと呼ばれています。
13年ごとに羽化するのは南に生息する素数ゼミ、17年ごとに羽化するのは北に生息する素数ゼミです。
素数ゼミの羽化する周期が13年若しくは17年なのは、偶然素数なのではなく、13と17が素数であるからであると考えられています。
これは、どういう事なのでしょうか?
素数ゼミの祖先には、素数以外の周期で羽化する個体もいた事がわかっています。
南に生息する素数ゼミの祖先は、12年・13年・14年・15年周期で羽化する群れがいた事が確認されており、北に生息する素数ゼミの祖先には、14年・15年・16年・17年・18年周期で羽化する群れがいた事が確認されています。
異なる周期に羽化する群れ同士は、まれに同じ年に羽化する事がありました。
羽化する周期の最小公倍数にあたる年です。
すると、同じ年に異なる周期の群れ同士が羽化する事により、生存競争が生まれ、やがて絶滅していきました。
これに対し、13年と17年で羽化する群れは、13と17が素数であり、1以外の最小公倍数が存在しない為、同じ年に異なる群れ同士が羽化する事がありませんでした。
生存競争が生まれなかった為に、現在に至るまで、種を残す事に成功したと言う事が出来ます。
世の中の不思議の解には、数学が潜んでいる事が多いです。
学校で教わる数学は退屈極まりないものですが、大人になってからの数学は好奇心を満たしてくれます。