この時代の名を、メッシと呼ぶ

 

 「われわれは、恵まれた時代を生きている。リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドの全盛期を、リアルタイムで目撃できる恵まれた時代を、だ。なかでも、2人によるバロンドールの独占が続く2008年以降は、サッカー史に深く刻まれる歴史的な10年と言って差し支えないだろう。節目となる創刊500号で改めてフィーチャーするのは、最高峰に君臨し続ける2大クラックの10年。その偉大な足跡に迫る。」

 2017年発売『WORLD SOCCER DIGEST』の言葉です。

 

 

 クラブ以上の存在において520試合出場474ゴール、リーガ優勝10回・コパデルレイ優勝7回、チャンピオンズ優勝4回、そして、バロンドール受賞7回。

 クラブにおいて、全てを手にしてきた史上最高の選手に残された課題は、代表でのタイトルでした。

 

 2008年2012年のEURO連覇、そして2010年ワールドカップ優勝をしたスペイン代表。

 内容も結果も代表において出す事が出来る事を証明した唯一無二のチーム。

 私は、メッシがスペイン国籍を選択したのであれば、ワールドカップ連覇も可能であったのか、または、EURO連覇もワールドカップ優勝も叶わなかったのか等という妄想を、アルゼンチン代表の試合を観る度に妄想する事が日課のようになっていました。

 

 

 さらに、2015年以降は、代表だけではなく、バルサにおいても、メッシの負ける姿を観る機会が増えてきました。

 そして、2020年メッシはチャンピオンズにおいてバイエルンに大敗したチームに別れをする決断をしました。

 その決断は、バルサを裏切るというものではなく、ただ単純に、よりレベルの高い舞台で戦いたいというメッシの思いからでした。

 しかし、そのメッシの決断が叶う事はありませんでした。

 そのまま、バルサで生涯を閉じる事になると思われた1年後、今度はバルサ側の都合により、メッシはクラブ以上の存在であるチームを離れるしかないという状況になってしまいます。

 

 順風満帆のように思われるメッシの物語ですが、誰もがそうであるように、逆境の方が多かった物語でもあります。

 どうやら、現実を見るという言葉には、2つの意味があるようです。

 多くの凡人にとっては諦める、成功者にとっては行動するという意味となります。

 2021年パリに移籍してからも、最初の1年間は新しい環境に馴染む事が出来ず、当たり前のように決めていたゴールも決める事が出来ませんでした。

 しかし、その苦労の日々が、2022年12月世界一となるという最高の結果とともに、実を結びました。

 おそらく、バルサでの苦悩の日々や、パリでの苦労の日々がなければ、このような結果になる事はなかったと思われます。

 フットボールの神様は、最後に史上最高の選手の味方をし、メッシの前にボールを落としてくれました。

 

 

 …飛雄、急速に進化するお前に、俺は負けるのかもしれないね。ーでも、それは今日じゃない…

 『ハイキュー』及川徹の脳内言葉です。

 

 2004年将来史上最高の選手となる男のデビュー、2008年ペップがバルサの監督に就いてからの最強バルサ、代表において内容も結果も体現する唯一無二の代表スペイン代表のEURO連覇・2010ワールドカップ優勝、そして少年から青年、大人となったクラブ以上の存在が生んだ史上最高の選手の2022ワールドカップ優勝。

 18年間続いたフットボールの夢物語が、終わりを迎えようとしています。

 

 王者となり伝説に幕を閉じる者もいれば、王者を横目に急速に進化する者もいます。

 

 舞台は、再び馴染のヨーロッパに戻ります。

 そこには、史上最高の選手も、急速に進化する者も、セレソンの10番も、セレソンの挑戦に幕を閉じてしまった誰よりも真面目な男も、スペイン代表に彼がいればと何度も思わせた史上最高のリーダーも、同じユニフォームを着ています。

 

 物語は、まだ続きます。

 是非、その物語の続きを、一緒に目撃していきましょう。