この時代の名を、ロナウドと呼ぶ

 

 「忠告だ、及川。もう道を、間違えるな。お前は、道を間違った。もっと力を発揮できる場所があったのに。取るに足らないプライドの為に、お前はそれを選ばなかった。」

 「それは青城じゃなく、白鳥沢に入るべきだったって事でOK?成功が約束されたチームなんか無いだろ。」

 「少なくとも今ここでは、俺の居る場所(チーム)が最強の場所(チーム)だろうが?」

 「ハッ相変わらず面白いくらいの自信だな。…取るに足らないプライド…確かにね。」

 

 「聞けよ、牛島。俺は、自分の選択が間違いだと思った事は一度も無いし。俺のバレーは何ひとつ終わっていない。取るに足らないこのプライド、絶対に覚えておけよ。」

 『ハイキュー』若利君と及川徹の会話です。

 

 

 ユナイテッド196試合84得点、マドリー438試合451得点、ユベントス98試合81得点、帰還後のユナイテッドでも40試合19得点。

 プレミアでも、リーガでも、セリエAでも、優勝も、得点王も経験し、チャンピオンズリーグ5回優勝、そして、バロンドール5回受賞。

 ポルトガル代表196試合118得点、EURO2006準優勝・EURO2016優勝、18/19ネーションズリーグ優勝。

 代表においても、歴代代表最多得点記録保持者である男。

 それが、ロナウドです。

 

 ロナウドがいると、ロナウド中心のチームを作らなければならない。

 この疑問を、常に圧倒的な結果で捻じ伏せてきた男、それがロナウドです。

 そして、その圧倒的な結果の裏に隠されているのは、誰よりもプロフェッショナルな彼の努力と、決して負けを認めないプライドの高さです。

 

 

 …一番最初は漫画が地味だから、華のあるキャラクターを出そうと思って描いたのに、実は一番泥臭い奴だった…

 『ハイキュー』作者の及川徹に関するコメントです。

 若利君と及川徹、フットボールに例えるなら若利君がロナウド、及川徹がメッシと思う方が多いと思います。

 しかし、実態は、その反対です。

 ロナウドは、誰よりもフットボールと向き合う一番泥臭い男です。

 

 

 メッシは天才かと聞かれたら、即答でYESと答える事が出来ます。

 これに対し、ロナウドは天才かと聞かれたら、即答でYESと答える事が出来ません。

 

 体格やセンスに恵まれ、上達振りも群を抜いていた中学時代の及川徹。

 しかし、常に超えられない壁として、若利君の存在がありました。

 さらに、同じチームに、天才的なセンスを持つ影山が入部してきました。

 天才達に挟まれ、独りもがき苦しみ及川徹。

 

 まさに、ロナウドの姿と重なります。

 

 

 取るに足らないプライドの為、自分を育ててくれた家(ホーム)であるチームとも決別をしたロナウド。

 「おりこうさん」ばかりの、この世界において、私はロナウドには最後まで、2009年途中交代を命じられファーガソンにジャージを投げつけたままの姿でいてほしいと願っています。

 

 史上最高の選手が世界一になった事で満足をしていますが、もう一度だけフットボールの神様にお願いがあります。

 現在無所属であるロナウドが、チャンピオンズ決勝トーナメントに出るチームへの移籍を果たし、そこで全員倒してほしいです。

 超えられない壁である若利君(メッシ)も、天才的なセンスを持つ影山(エムバぺ)も、戦ったら全力で倒すと別れを告げた盟友岩泉(ラモス)も、最後に全員倒す姿を観たいです。

 

 

 「…ここまでの、俺の取るに足らないプライドは、どうだい?」

 「…見事だと思う。」

 『ハイキュー』及川徹と若利君の言葉です。