「さよならじゃない 名も知らない遠い場所へ 離れたとしても 記憶の中で 息をし続ける」
『劇場版夏目友人帳~うつせみに結ぶ~』主題歌『remember』の一説です。
昨日、飼い猫が息を引き取りました。
昨年末リンパ腫と診断をされ、助かる見込みはほとんどない中、飼い主の「少しでも一緒にいたい。」という我儘に彼女(猫)は付き合ってくれました。彼女にとっては苦痛でしかない動物病院に連日のように通い、抗がん剤治療を受けさせたという選択が果たして彼女にとって幸せだったのか、苦痛でしかなかったのか、正直現在でも葛藤が続いています。
抗がん剤治療をしなければ余命1カ月と告げられた中、一緒に頑張る事で、予想よりも長く幸せな日々を一緒に過ごす事が出来ました。
「ただ君がいてくれるだけで幸せ。」という感覚は、彼女に出逢ったからこそ、感じる事が出来た感覚です。
4月に入り、1人で食事摂取をする事は困難になったものの、別れを告げる30時間前まで自分でトイレに行き、自分で歩く姿からは、猫、否、動物の生命力を感じました。
ヒトの場合、何かしらの介護が必要になってから亡くなるまでに、男性は10年、女性は12年を要するとされています。
猫の場合、本格的な介護が必要になるのは、別れを告げる最後の数日である事が多いです。
改めて、猫は気高い存在であると認識させられます。
また、ヒトの場合、何らかの介護が必要になると、怒りや悲しみ、不安等の気持ちが延々と頭を巡り、自分を責めたり、他者を責めたり、過去を悔いたりという気持ちに囚われてしまいます。ヒトは、自らで苦しみをこじらせてしまうのです。
これに対し、猫を始めとする動物は「今この瞬間を生きる」ことだけにフォーカスしています。
ほとんどの苦しみは、将来を考える事で生じます。
その為、今この瞬間を生きる事にのみフォーカスすれば、多くの苦しみから逃れる事が出来るのです。
これがマインドフルネスの考え方です。
動物に苦しみはないかと問われれば、答えはNOとなります。
苦の感情は、ヒトを始めとする全ての哺乳類に共通しています。
それぞれの個体がどのような感情を抱いているのかまでは正確に判断する事は出来ませんが、近年MRIの研究が進み、ネガティブな出来事に対して、ヒトと動物では脳の同じエリアが活性化する事がわかってきました。
この事から、動物にも苦の感情がある事が理解出来ます。
苦の感情が同じようにあるものの、ヒトと動物の違いは、苦しみをこじらせるか否かにあります。
ヒトは苦しみをこじらせ、他の動物は苦しみをこじらせません。
不安で眠れないような苦境に追いやられたとしても、動物達は少しだけネガティブな感情を露すだけで、すぐにいつも通りの状態に戻ります。
ヒトの飼育下にある動物では稀に抑鬱のような症状を見せる動物もいますが、ヒトが抑鬱状態になる事と比較すれば、飼育下にある動物の抑鬱症状は無いにも等しい程の数です。
野生の動物に至っては、慢性的な不安や鬱に悩むケースはなく、精神疾患が観察された事もありません。
動物と一緒に過ごす中で、学ぶ事が多いのはヒトの方なのかもしれません。
「さよならじゃない 例えばもう 会えなくなっても きっとどこかで 笑っていると 心繋げて さよならじゃない 名も知らない遠い場所へ 離れたとしても 記憶の中の 温もりを ずっとずっと忘れないよ」
『remenber』の歌詞が頭を過ぎる度に、涙が自然と零れてしまいます。