…理論的に組み立てたわけじゃない…
…千鉱(チヒロ)は、この満身創痍(ハンデ)を埋める突破口を直感した…
…そして、この極限の集中下において、感覚的な理解(それ)は、加速する…

『カグラバチ』千鉱の感覚的な理解への解説です。
♦マーケティングの限界
①健康的な毎日の為に、1日に5つの野菜と果物を食べましょう
②1日に5つの野菜と果物を、トレイの上に置きましょう
あなたは、どちらのコピーが良いと感じますか?
学生にアンケートを取った所「言葉がいいし、効果的である」と選ばれたのは①のコピーでした。
このアンケートだけを基にすると、①の方がいいという結論に至ります。
ところが、実際に学生達の食生活の改善に役立ったのは、②のコピーでした。
その理由は、どこにあるのでしょうか?
①の方が言葉としての響きは良いものの、食堂でメニューを選ぶ時、頭に浮かびやすいのは②だからです。
この実験は、マーケティング調査等で、アンケートを取って決めた企業戦略は、往々にして効果が出ない場合がある事を、示しています。
これを「心理学」で分析をすると、消費者自身も無意識で行動をしている為、自分が何故そのようにしたのかを言語化する事が出来ないという結論に辿り着く事が出来ます。
「マーケティング」という言葉に、魅力を感じる人は、多いでしょう。
しかし、ビジネスで使われる実は実態がわからないカタカナ語は、注意が必要です。
往々にして、その言葉は、人を呼び寄せる為に使われている事が多く、その魅力的に映る言葉とは裏腹に、あなたに幸運を運んでくれる事は少ないものです。
♦マクドナルドもアンケート調査を基に、企業戦略を取ったら、失敗に終わった
1955年、アメリカのイリノイ州でフランチャイズを開始して以降、急成長を遂げてきたマクドナルド。
株価においても1985年ほぼ0ドルの株価から、現在は約300ドルとなっており、多少の下降の時期はあるものの、長期的にみるとずっと成長を続けています。
日本においても、2014年・2015年頃には閉店が相次ぎましたが、徐々に回復をしてきて、現在ではどの店舗にも人だかりが出来ています。
★脳を直撃するような脂っぽいハンバーガーやポテトを手早く食べられる
これが、私が考えるマクドナルドの魅力です。
しかし、時代は変化し「健康志向」の傾向が強まってきています。
そこで、マクドナルドは、アンケート調査を実施します。
★もっと健康的なメニューを増やしてほしい
アンケートの結果「もっと健康的なメニューを増やしてほしい」という声が、たくさん挙がりました。
このアンケート結果を基に、マクドナルドは、2013年サイドメニューに、サラダとフルーツを加えました。
お客様の要望通り、世の中の「健康志向」に合わせ、健康的なメニューを提供したのです。
このマクドナルドの企業戦略は、どのような結果を生んだでしょうか?
この企業戦略は、失敗に終わります。
世界的な企業であるマクドナルドが、大規模なマーケティング調査を行い、その結果を基にした企業戦略を行ったにも関わらずです。
マクドナルドを利用する顧客が求めたものは「健康的なメニュー」ではなく「こってりした揚げ物」だったのです。
日本マクドナルドでも、2006年にマーケティング調査を基に「サラダマック」を発売しますが、失敗に終わっています。
♦マクドナルドに行く時は、どんな時なのか?
あなたは、どんな時に、マクドナルドに行きますか?
☆忙しい時
★手っ取り早く食べたい時
☆疲れている時
★イライラしている時
上記のような時に、マクドナルドに行くのではないでしょうか?
顧客が、マクドナルドで注文をする時は「健康を考えて注文をする」のではなく「何となくパッと見て決める」という意思決定がされています。
これに対し、人がアンケートに答える時は、どうでしょうか?
アンケートに答える時は、じっくり考えて答えます。
人は、じっくり考える時「〇〇するべきだ」というように合理的かつ理想的な行動を頭に置き、回答する傾向があります。
このギャップが、マクドナルドの企業戦略が失敗に終わった要因です。
勿論、人であれ、会社であれ、失敗は、誰もがします。
寧ろ、失敗は挑戦した証であり、その失敗を次の挑戦に活かしていけばいいだけである為、ネガティブな事ではありません。
「挑む者だけに、勝敗という導(しるべ)と、その莫大な経験値を得る権利がある。」
「今日、敗者の君たちよ。明日は、何者になる?」

『ハイキュー』雲雀の言葉です。
アンケートによる調査は、このギャップに、直面します。
★消費者が、その商品を買う理由は、消費者自身も言語化出来ない
これを前提として、認識する事が必要です。
このような事から、消費者や従業員等、対象となる人を理解しようと思ったら「考察」と同時に「観察」をする事が大切となります。
人を「観察」して、人が無意識に、どのような行動を取るのかを知るのです。
