先日、東芝の株主総会にて、取締役議長永山氏の再任が否決されました。
日本人の事なかれ主義や、株の多くは自社に関係の深い人が所有していること等から、株主総会において否決されるのは、日本においては珍しいことです。
これを日本人が自身で考え、合理的な判断が出来るようになったとポジティブに捉えることも出来ます。
永山氏の経歴をみると、ソニー社外取締役取締役議長、中外製薬代表取締役社長等、華やかな経歴が踊ります。
経歴だけを見ると、一昔前に流行ったプロ経営者に該当するのかもしれません。
しかし、このような経歴を持つ方も、戦う場所を変えると、その能力を発揮出来ないことは枚挙に暇がありません。
ハーバード大学が外科医に対して行った実験があります。外科医を対象に2年間43の病院で203人の外科医を追跡調査しました。
主な対象は、冠状動脈バイパス手術です。この手術は、患者の胸部を開き、下肢の静脈か胸部の動脈の一部を用いて、大動脈の閉塞部分の迂回路を作るものです。
当時は平均して、患者の3%が手術中に死亡していました。
データを調べると、驚くべきパターンが発見出来ました。
全体的に見て、外科医の手術の腕前は向上していなかったのです。
唯一、向上していたのはある特定の病院においてのみでした。
その特定の病院で行った処置では、患者の死亡率は1%未満まで低下していました。
しかし、他の病院での死亡率は同じままでした。
つまり、外科医は手術の腕前を持ち歩くことは出来なかったのです。
特定の麻酔科医や看護師等と顔馴染みになり、その長所や短所、癖等が理解出来るようになることで、手術の精度は上がり、患者の死亡率を低下させることが出来たのです。ただ、その能力は特定の病院でしか発揮出来ず、他の病院に持ち運ぶことが出来ませんでした。
これは、証券アナリストにも、同様の結果が確認されました。
その会社で活躍出来たのは、その会社の代表取締役や他の取締役、会社で働く従業員の長所や短所、癖等を理解出来た上で仕事が出来たからです。
その特定の会社での成功体験はそこでしか通用せず、他の会社に持ち運ぶことは出来ません。
東芝の株主総会の記事をみて、上記の実験を思い出しました。