その場の正解を選択するのではなく、未来にとっての正解を選択する

 

 「作戦の本質を見失うな。自分の欲求を満たすことのほうが大事なのか?」

 『進撃の巨人』リヴァイの言葉です。

 

 問題を解決する時に大切にしたい事の1つに「未来にとっての正解」という視点があります。

 問題が目の前で起こると「まずはクレーム対応をしないと。」等、つい場当たり的な解決策を考えがちです。

 短期的な解決策としては間違いではないのですが、将来的なメリットを考えた場合、ゴールは長期的な視点で設定した方がメリットが大きくなる事が多いです。

 

 人は、近い未来には悲観的であるが、遠い未来には楽観的であるという性質があります。

 その為、何か計画を立てる時には、近い未来のビジョンだけではなく、遠い未来のビジョンを加えると、計画作りに創造性が吹き込まれます。

 

 

 みずほ銀行が度重なるシステムエラーを起こし、ATMが使えなくなるトラブルが頻発しました。

 みずほ銀行は、2002年に第一勧業銀行と富士銀行、日本興業銀行が合併して誕生した銀行です。

 その時に、基幹システムを統合する事をしませんでした。各銀行のシステムを継ぎ接ぎに繋ぎ合わせて使い続けた為、想定されていなかった事態が生じると突然システムが動かなくなってしまう。これがみずほ銀行のATMが度々使えなくなってしまった問題の根幹です。

 最初の段階で、長期的な視点を持ち、未来にとっての正解は何かを考え、計画し、行動していかないと後々大変になる事が良く理解出来る事例です。

 

 

 2018年9月発売の『Newton』において、イーロンマスクの火星移住計画と書かれていた表紙を観て、驚愕し、私はそこから科学に魅了されていきました。

 マスクはロケット開発をしようとした時に「どんなロケットを作るのか」ではなく「ロケットをいかに安く早く作るか」というゴールを設定しました。

 マスクの登場以前は、ロケット開発や打ち上げには莫大なコストが掛かっていました。人工衛星を1機打ち上げるのに、約2億ドル掛かっていたというから驚きです。

 その為、宇宙開発は民間企業には手が出せない、国家事業であると信じられてきました。

 

 しかし、1961年にソ連が世界初の友人宇宙飛行を成し遂げてから60年以上が経過し、ロケットを宇宙に飛ばす為の原理原則はわかっているのです。

 ここでマスクは「ロケットを1から自分達で作る必要はないのではないか?」と考えました。

 スペースXは、アメリカの優秀な技術者を次々と引き抜き、わずか2年でコピーのエンジンを作り上げました。

 さらに、100万もの部品を職人が手作業で作り上げていたロケットエンジンを、スペースXは3Dプリンターを用いて、労力とコストの大半を削減し、完成させてしまいました。

 マスクが「どんなロケットを作るのか」ではなく「ロケットをいかに安く早く作るか」という未来にとっての正解を導き出した事が、これらの偉業を成し得た要因です。

 

 

 問題解決する時、壁にぶつかった時、選択を迫られた時等、その場の正解ではなく、未来にとっての正解を意識し、未来にとっての正解を選択していく事で、長期的に見た上での成功の確率を高めてくれる事を約束します。