「ピオラン?だめじゃないか。しっかりつかまってなきゃ。」
「うるしゃー。腰が痛いんじゃ言うとろーが。ボケッカスッ。」
「あぁ?」
「朝飯のイモ炊いたか?」
「え?さっき食べたよ。」
「ワシは食べとらん。」
「食べたよ。」
「その変化は、徐々にやってきた。」
『不滅のあなたへ』フシとピオラン、そして観察者の言葉です。
認知症とその症状に振り回される介護者の姿を見事に描いています。
「何でワシをおぶうんじゃ。ワシのこと役立たずじゃって思っとるんだろ。おろせー。」
「何度もロバから落ちるから仕方ないだろ。」
「わかっとる。ワシはお荷物なんじゃ。ワシみたいな老いぼれ、道に捨てていけ。」
「そんなことしないよ。」
再びピオランとフシの会話です。
「なぜこんな風になってしまったのか、フシにはわからないようだ。私がそういうものだと伝えた所で納得するわけでもなく、黙々と老婆の世話をするだけだった。」
「フシにとって、それはまるで、ピオランという人物が徐々に消滅していく感覚であっただろう。そんな状況にフシも徐々に変化していった。」
「彼は頻繁に笑顔を見せるようになった。常に前を向くような清々しいその表情は、新しい経験に触れた一瞬の感動の表れか、尽きゆく者に対する最大限のあがきなのかもしれない。」
再び観察者の言葉です。
英雄でもない人物の、死に向かうまでをきちんと描く漫画やアニメは、実はあまり多くありません。
思い浮かぶのは『バガボンド』と『彼女お借りします』位でしょうか。
しかも、私の中で今年NO1のアニメ『不滅のあなたへ』は、上記のフシとピオランの物語で幕を閉じます。
自らの運命を変える物語の途中で、ピオランという人物が徐々に消滅していく認知症と向き合ったフシ。
現代は、認知症ですら、マガジンから学ぶ事が出来ます。