「俺が好きだった人、家が隣で、物心ついた時からの付き合いで、俺はずっとそういう感情があったけど、向こうは違くて…ある日、男と家に入って行くの見かけて。」
「えっ。」
「後に、彼氏出来たって報告されて。」
「キッツ。よく耐えれたね。」
「最初は何処の馬の骨と知らないやつにって思ったけど、それでもだんだん楽になったよ。サキが幸せそうだったから。十何年の付き合いでも見たことない顔してて、そんな顔してるんなら、自分の気持ちなんてどうでも良くなった。」
「難しいよな。どう接するかって正解のないことだから。もちろん、配慮しないといけない相手はいるけど…そこがクリアできるなら友達に戻るのも、関わらないのも自由だと思う。ただ俺は、恋愛に支配される人間関係は、少し寂しいと思う。」
『アオノハコ』笠原と雛の会話です。
思春期になり、好きな人が出来ると、寝ても覚めても好きな人の事ばかり考えてしまいます。
悶々とした気持ちでため息をつくのも思春期ならではの事なので、大いに悩むべきであると私は考えます。
しかし、思春期の間、恋愛だけに意識が向けられるのは、勿体ない上に、心理学的にもリスクが高いものという考えも持ち併せています。
ニューヨーク州立大学において、恋愛と抑鬱症状の関係について、96名の中学生を調査した研究があります。
結果は「好きな人の事で頭がいっぱい」である程、抑鬱症状が起きやすいというものでした。
不安障害・鬱病・統合失調症等、精神疾患の75%は、思春期に発症します。
友人関係の変化、初めての恋愛経験、自身が特別な存在でないと社会に気付かされる等、ある意味、無敵であった子ども時代から、心が大人になっていく段階が思春期です。
これらにより、中学生・高校生は、自己肯定感が最も低下する時期です。
この状態の中、大人でも脳がチンパンジー程度になると言われる恋愛を、初めてしてしまっては、脳や心が追いつかなくなる事も納得出来ます。
私の中学・高校時代を振り返っても、男女ともに、恋愛に強すぎる執着を持っていた友人の顔が何人も浮かんできます。
好きな人が出来て、その人の事を考え行動するものの、上手くいかないという経験は、後の人生に多いに役立ちます。
中学や高校の時に、このような経験を出来ない人は、その後も異性との付き合い方がわからず、恋愛が出来ないというのが私の仮説でもあります。
しかし、思春期にあるのは、恋愛だけではありません。
勉強も、部活もありますし、友達付き合いもあります。
また、自分が行った事のない場所に行ったり、親や教師以外の大人と交流をする等も、必要な経験です。
これは、大人にも当てはまります。
恋愛でも、仕事でも、趣味でも、1つの事だけに視野が偏ってしまっては、その人の魅力は低下します。
何かに夢中になる事は、素晴らしい事です。
そのような中でも、視野を拡げるように意識しましょう。
サッカーにおいても、ゴールだけをみていても、得点する事は出来ません。
ゴールまでの道を、どれだけ逆算出来るのかが、その人のサッカーIQです。
行った事のない場所に行く・読んだ事のない分野の本を読む・見た事のないアニメや映画を観る。
1週間に1回程度でいいので、敢えて、視野を拡げる行動をしてみて下さい。