だからー私は自分の心に謝りたい。私を苛め続けて‥ごめんねって。ずっと閉じ込めててーごめんねって。さてーというわけでようやく私は私の物語の最初の1行目を書く準備が整った2

 

 ‥今までのー私ならば。そういった類の感情をせっせと心から外に吐き出してー掃き出して、きた。それが私の知らぬところで、怪異に育っているとは夢にも思わず、知ろうともせず。私は白くあり続けるためにー自分の心をゴミのように捨ててきた。私を誰よりも虐待してきたのはー私だった。‥

 『化物語』羽川翼の脳内言葉です。

 

 

 過去関わりを持った女性は「母親の言う事を聞かなければならない」という幼少期を過ごしてきました。

 習い事や学校の選択はもちろん、買う本や本の並べ方、付き合う友達に至るまで、全て母親の言う通りにしてきたそうです。

 大人になり、母親の存在を無視出来るにも関わらず、日常生活の些細な事で苛立ち、他者と衝突し、他者を裏切るような言動を繰り返す、この女性の陰にはいつも母親の影があるようでした。

 

 この女性の場合は、結成した怒りと記憶が、あらゆる悩みの根幹にあります。

 このように結成した怒りや挫折、記憶等が悩みの根幹にある場合、服薬やカウンセリング等では効果が期待出来ない事が多いです。

 問題は表面的な部分ではなく、もっと奥深い部分にあるからです。

 結成した怒りや挫折、記憶等の呪縛から解き放たれる為の有効な処方箋は3つです。

  ①結成した怒りや挫折、記憶に気付き、反応しない

  ②感覚を意識する

  ③反応の源を断つ

 

 

 ①結成した怒りや挫折、記憶に気付き反応しないとは、仮に母親に干渉された記憶を思い出したとしても「これは記憶に過ぎない。」と思い、それを口に出す事です。

 「これは記憶。今の私とは関係ない。」というように気付きの言葉をラベリングしていきます。

 気付く事が、手放す事へのきっかけとなります。

 心の癖が、この先どこまで出てくるのかとゲーム感覚で付き合っていきましょう。

 

 

 ②感覚を意識するとは、身体の感覚に意識を向ける事です。

 身体の感覚は、感情や記憶とは別の心である為、身体の感覚に意識を向けると、反応をリセットしやすくなります。

 私は、子どもを見ていて不思議でした。

 子どもは、今までこの世の終わりであるかのように泣いていたにも関わらず、お菓子をあげた途端に泣き止み、機嫌が良くなります。

 この現象を分析すると、感情に反応していた心が、感覚への反応に切り替わった状態と捉える事が出来ます。

 これは、私達大人にも応用が出来る技術です。

 怒りに支配されてしまったり、挫折を思い出したり、思い出したくもない記憶が頭を過ぎった時には、身体の感覚に目を向けましょう。

 散歩をする・筋トレをする・お風呂に入る、どのような方法でも良いので、感情に反応している心を、身体の感覚に反応するように切り替えていきましょう。

 

 

 ③反応の源を断つとは、問題の根幹となっている人物と距離を取る事です。

 家族というのは、結成した心を長引かせてしまう1番の要因にもなります。

 お互いに、関わり方のパターン、性格や役割等を確立している為、どのような状況でも、いつもの親と子として向き合ってしまいます。

 この反応がポジティブなものであれば良いのですが、ネガティブなものであると、家族という関係が苦しみの輪廻の原因となってしまいます。

 もし、家族との関わりが悩みを長引かせている原因であるなら、きっぱりと距離を取ってみてはいかがでしょうか。

 私は、仮に家族との関係がポジティブなものであったとしても、高校を卒業したら子どもは家から出る事が最善ではないかと考えています。

 ずっと親と暮らしていては、親の有難みはわかりません。

 親と離れて1人で生活をする事で、初めて親の有難みを感じる事が出来ます。

 踏み切る事が出来ない人も多いですが、関わりを断つ事が、関係をやり直すのに必要な事も多いものです。

 

 「関りから愛情が生じる。愛情から苦悩が生じる。愛情から災いが起こることを理解して、犀の角のようにただ独り歩め。」