だけど、自信が欲しかった。その覚悟の裏付けとなる強い自信が。自分を信じるために他者からの評価を求めた。私はバカだ。その時点で、自分を信じていないと気付きもしなかった5

 

 「僕は最近、謙虚っていう言葉の意味がよく分からないんです。謙虚って、時に自信がないだけなのかなって。僕の中での謙虚とは、強い志を持って、高い目標に対して真剣に、客観的に自分を観察しながら取り組んでいくことだと思っています。誰かに褒められた時に、そんなことないですよと言うのが、謙虚だとは思わない。それはただ、自分を制限しているだけというか、逃げ道を作っているだけだと思うんです。」

 

 2009年9月日本代表がオランダ代表と戦った試合、後半開始から登場した金髪の代表新参者は、当時絶対的な存在である中村俊輔がFKをセットしている所に近づき、ゴールを見据えたまま、俊輔に呟いていました。

 「俺だって」

 新参者の本田が俊輔に対して、自分こそがFKを蹴るのに相応しいと一歩も引かない姿に、興奮した事を覚えています。

 試合は0対3で、日本代表はオランダ代表に大敗しました。

 翌日の新聞には本田に対し「自己中」「個人プレー重視」「悪童」等といった言葉が添えられました。

 

 

 自己肯定感の低さを、自己有用感、つまり、人の役に立つ事で補おうとすると、どうなるでしょうか?

 

 自己肯定感が低い状態で自己有用感だけ高めようとすると、自分が本当にやりたい事とやりたくない事の線引きが出来なくなります。

 本当はやりたくない事さえ、引き受けてしまうのです。

 誰もがやりたくない事、自分も本当はやりたくない事を「ありがとう」と言って貰いたいが為に、どんどん引き受けてしまいます。

 

 誰かの役に立つ事は大事です。

 しかし、自分のやりたい事をやる事も大事ですし、自分が休む時間も大事なのです。

 自己肯定感が低い時に、他者の役に立つ事で、自己肯定感を満たそうとする事は大変危険です。

 

 あなたの周りにも、当てはまる人がいるのではないでしょうか?

 否、若しかしたらあなた自身にも当てはまる節があるかもしれません。

 そのような状態は長続きせず、その先にあるのはフェードアウトだけになってしまいます。