「こっちのチーム来んなよ天童。妖怪は、人間チームに入れないんだぞ。」
「たしかに妖怪ぽい。」
「覚ィ何回言わせんだ。直感だけで跳ぶんじゃない。」
「でも俺一人の直感だけで何点も獲ってますよ?」
「いつもそうとは限らないだろう。個人技には、限界があるんだ。」
「今が気持ちよくなきゃ意味無いですもん。」
「天童がいるといちいち練習止まんだよなー‥休めていいけど。」
「ていうか何か怖いよな天童。何考えてるかわかんない感じがさ。」
…あの顔を見た瞬間から、俺は、ワンタッチで満足なんかできない…
「俺は、俺が気持ちの良いバレーがやりたいんです。」
「‥。点が獲れるなら何の文句も無えよ。」
『ハイキュー』天童覚の小学・中学時代の回想と、天童の脳内言葉と言葉、そして、白鳥沢学園高校監督・鷲匠の言葉です。
『みにくいアヒルの子』『マッチ売りの少女』等で知られるアンデルセン。
貧しい靴職人の家に生まれたアンデルセンは、14歳の時、役者や歌手を目指し単身コペンハーゲンに行きますが、挫折の連続でした。
演技も歌も認められずに、試行錯誤の日々は3年以上も続きました。
しかし、そんなアンデルセンに奇跡が訪れます。
アンデルセンが書いた芝居の脚本が、偶然、王立劇場の目にとまったのです。
さらに、自費出版していた小説が評判を呼び、童話作家としてもデビューを果たします。
ようやく自分の居場所を見つけたかに見えたアンデルセンでしたが、満たされない思いは続くばかりでした。
その理由は、恋愛がことごとく上手くいかなかった為でした。
20歳の時、ラテン語の学校に通っていたアンデルセンは、5歳年下のロッテと恋に落ちます。
しかし、思うように関係を構築していく事が出来ずに、破局。
25歳の時には、学友の姉リーボアの虜になります。
陽気なリーボアへの想いは募りますが、彼女には婚約者がいました。
それでも、アンデルセンの熱が冷める事はなく「彼女が私を愛している事を、私は少しも疑わなかった。」と手紙に残しています。
しかし、一方のリーボアは弟に「アンデルセンに恋する事等、できっこありません。」と手紙に記しています。
リーボアは、結局婚約者と結婚をします。
リーボアへの失恋後、落ち込むアンデルセンを慰めてくれる女性が現れました。
アンデルセンの活動をサポートする後援者の娘、ルイーゼです。
アンデルセンは、今度はルイーゼに惹かれます。
アンデルセンは、これまでの自分の境遇を綴り、リーボアへの失恋で終わる自伝を執筆し、ルイーゼにプレゼントします。
しかし、結果はまたしても撃沈。ルイーゼは、法律家と結婚をしてしまいました。
その後も、失恋を繰り返すアンデルセン。
32歳の時、日記に「僕はもう決して結婚することはないだろう。僕のために成人している若い娘は1人もいないのだ。機能は若者に属していたのに、今日はもはや老人なのだ。」と記しています。
若者らしい恋の情熱が、老人のような達観に辿り着く。
そんなアンデルセンが、その後、女性と深い関係になる事はありませんでした。
しかし、家族がいなかったからこそ、アンデルセンは、好きなように旅行を繰り返し、好きなだけ執筆に専念する事が出来ました。
アンデルセンは、後世に残る童話を精力的に執筆していきます。
もし、彼が満たされていたのなら、人の心を動かす童話を残す事が出来たでしょうか?
満たされないからこそ、出来る事があります。