「君は‥アレだね日々人君、昔から「絶対絶対」とかる~く言っちゃうけども、世の中に絶対なんてないんじゃねーなぁ‥‥。」
「‥‥そうだな。世の中には、絶対はないかもな。」
「え‥‥。」
「でもダイジョウブ。俺ん中にあるから。」

『宇宙兄弟』六太と日々人の子ども時代の会話です。
♦ケーキの角度は、日頃の働きに比例する
『宇宙兄弟』の物語の中で、日々人が、月に向かうのが2025年です。
『宇宙兄弟』を読み始めた2008年当初は、2025年は遠い未来のように感じていましたが、現在その2025年になっています。
大学生であった当時の私は、自分の根拠のない自信と自分の何もない実績の狭間でもがいていました。
『宇宙兄弟』を読んでいる時だけでは、そんな現実を忘れる事が出来るとともに『宇宙兄弟』の言葉達が、私の背中を押してくれた事を、現在でも鮮明に記憶しています。
私が、小学生から現在に至るまでに、続けてきた事の1つに読書があります。
勿論、漫画も読書の1つです。
読書の効用として「自分と対話出来る」というものがあります。
どんな本を読んでいても、必ず、過去の自分を振り返る事になるのです。
★恋愛小説を読んでいると、自分の過去の恋愛を振り返る事になる
☆推理小説を読んでいると、自分の過去の悪戯を振り返る事になる
★ビジネス書を読んでいると、自分の過去の仕事を振り返る事になる
本を読む事により、自分の過去を、もう1度生き直す事が出来るようになるのです。
恋愛小説を読んでいると「だから、俺(私)は、あの時振られたのか」というシーンを読んだ瞬間、思わず声をあげてしまいます。
推理小説を読んでいると「だから、あの時バレてしまったのか」というシーンを読んだ瞬間、思わず声をあげてしまいます。
ビジネス書を読んでいると「そうすれば失敗しなかったのか」というシーンを読んだ瞬間、思わず声をあげてしまいます。
♦映画をどれだけ楽しめるかは、映画それ自体の出来よりも、観る人がどれだけ人生経験を積んできたかで決まる
大学生の時に、読書により、上記のような文章を読んだ時、私は、おおいに納得しました。
読書も、これと同じ事が、言えます。
私の本棚には、高校時代・大学時代に購入した本もあります。
たまに、高校時代・大学時代に購入した本を、読み返す事もあります。
その度に、新しい気付きがあり、高校時代・大学時代には、きちんと読めていなかったと感じる事もあります。
高校時代・大学時代に気付かずに、今気付く事が増えたのは、私の人生経験が、蓄積されたからに、他なりません。
♦それは、果たして本当か?
しかし、ここ数年間の私は、上記の事に、疑問点を抱いています。
現在『宇宙兄弟』を読むよりも、確実に大学時代『宇宙兄弟』を読んでいた時の方が、心に届いていましたし、私の人生の指針になっていました。
小説においても、現在『竜馬がゆく』『燃えよ剣』等を読むよりも、確実に高校時代『竜馬がゆく』『燃えよ剣』を読んでいた時の方が、心に届いていましたし、私の人生の指針になっていました。
映画においても、現在『グッド・ウィル・ハンティング』『フォレスト・ガンプ』を観るよりも、確実に中学時代『グッド・ウィル・ハンティング』『フォレスト・ガンプ』を観ていた時の方が、心に届いていましたし、私の人生の指針になっていました。
勿論、人生経験を蓄積した事により、感じる事が増える事は、確実にあります。
たとえば『宇宙兄弟』において、家族と仕事の狭間で葛藤するケンジの気持ちは、人生経験を重ね、実際に子どもを育てるようにならないと、本当に理解する事は出来ないでしょう。

しかし、夢と現実の間で葛藤するケンジの気持ちは、人生経験を重ねていない大学時代の方が、理解する事が出来た、否、心を動かされました。

このように感じる理由は、何故でしょうか?
♦脳の成熟時期のズレが、心を不安定にさせる
私は、その答えの1つが「思春期」にあるという仮説を立てています。
身体つきが変化するだけでなく「思春期」には、性ホルモンの影響を受けて、脳にも変化が起きます。
「思春期」になると、脳の中心近くにある「大脳辺縁系」という部位の活動が、活発になります。
「大脳辺縁系」は、偏桃体・海馬等の複数の構造から構成されています。
「大脳辺縁系」は、快楽・不安・恐怖等の、激しい感情に、関わっている部位です。
「大脳辺縁系」の活動が活発になる一方「思春期」になっても、中々発達しない脳の部位もあります。
それが「前頭前野」です。
「前頭前野」は、脳の前方にあり、思考・判断・感情の制御等、人の知的活動に大きく関わっている部位です。
「前頭前野」が発達する速度は遅く、25~30歳頃に、ようやく成熟されるとされています。
「思春期」は、本能・衝動性等に関わる「大脳辺縁系」が活発になる一方で、その制御役である「前頭前野」の成長が追いついていません。
この脳の成熟時期のズレが、「思春期」の子ども達の心の不安定さを生み出しているのです。
その一方で、この脳の成熟のズレが、10代~20代前半に出逢った漫画・アニメ・映画・小説等に、大きく心が動かされる要因であると、私は考えています。
大人になってからも、漫画・アニメ・映画・小説等を楽しむ事は出来ますが、10代~20代前半のように、その作品の世界観がこの世の真理であるかのような気持ちになる事は出来ません。
「思春期」に、身体を動かす事・恋愛をする事・故郷から飛び出す事とともに、出来るだけたくさんの漫画・アニメ・映画・小説等に触れる事を、お勧めします。