アオのハコ4

 

 

 「あーもー!!ほんっとウゼェな。ブス!!」

 「死ねクソ兄貴。大っ嫌い!!」

 「俺はお前なんか、妹と思ってねーわ。家出てけ。」

 「うわぁぁん。お前が出てけ。」

 

 …「自分自身がどう思っているか」よりも「目の前にいる人が今どういう感情なのか」を考えていることの方が多かった…

 

 「海斗!渚!アンタたち、いい加減にしなさい。お父さんに報告するよ。」

 

氷の城壁」2 自分で制御できないモヤモヤを晴らしたい時に読み返したい作品 - マンガ喫茶でまとめて読みたいようなマンガを紹介するブログ

  

  『氷の城壁』ミナトの幼き頃の回想です。

 

 

 

  ♦思春期の反抗期は、親からの心理的な自立

 

 思春期の子どもと聞くと「反抗期」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?

 最初の反抗期は、3歳頃に現れる第1次反抗期である為、思春期、主に中学生の時期に現れる反抗期は第2次反抗期と呼ばれています。

 

  ★親からの呼びかけを無視する

  ☆言葉遣いが荒くなる

  ★口答えをする

 

 親からすると、苛立つ事は理解出来ますが、反抗期には心理的に重要な意味があります。

 思春期の反抗期は、親離れの1つの過程なのです。

 

 思春期までの親子関係は、大人=保護者、子ども=被保護者という縦の関係です。

 反抗期は、その関係を、大人と大人という横の関係に変えていく過程なのです。

 

 

 思春期に子どもが親から心理的に自立しようとする事を、心理学においては「心理的離乳」と表現しています。

 心理学者のホリングワースが、1928年に提唱した言葉です。

 

 

  ①機能的自立

  ②態度的自立

  ③感情的自立

  ④葛藤的自立

 

 心理学者ジェフリー・ホフマンは、思春期における親からの自立には①機能的自立②態度的自立③感情的自立④葛藤的自立の4つの側面があると、主張しました。

 

 ①機能的自立とは、親の助けなしに、自分の問題を管理し、それに対処出来る能力の事です。

 ②態度的自立とは、親とは独立した自分の世界観・信念・態度等の事です。

 ③感情的自立とは、親からの承認・感情的なサポート等を過度に求めないでも生きていける事です。

 ④葛藤的自立とは、親との関係において、過度の罪悪感・不安・怒り等の感情を抱いていない事です。

 

 親の助けなしに、①日常生活を送る事が出来、②親とは独立した考え方を持ち、③心理的に過度に親に頼る事なく、④親に対して過度にネガティブな感情を抱いていないー。

 こうなる事で、親からの自立が、達成されます。

 

 

 

 

 「ミナトは、可愛いね~。ゼッタイ海斗みたいになっちゃダメだよ。」

 「うるせ。」

 

 「下からおやつ持ってきた。」

 「お、ミナト気ぃきくじゃん~。将来モテるぞ~。俺みたいに。」

 「ご飯食べないの?」

 「リビング行きたくねえんだよ。」

 

 

 「家を出てまで、行くような学校なのか?どうせ遊んで時間を無駄にするだけだろ?お前は。」

 「は?ちゃんとしろ・目標作れとか言っといて、夢追うことは否定すんのかよ。」

 

 「リビングうるっさ。出るならさっさと出て行ってくれりゃいいのに、あの問題児。」

 「……。兄ちゃんの味方‥誰もいない‥。」

 

 …感情的になって、ぶつかり合って、人とぶつかればぶつかる程、不利になってゆく。そこまでして、通したい気持ちって何なんだろう…

 

第95話]氷の城壁 - 阿賀沢紅茶 | 少年ジャンプ+

 

  『氷の城壁』ミナトの子ども時代の回想です。

 

 

 

  ♦アイデンティティの確立が、青年期の課題

 

 思春期・青年期の心理を説明する為の理論として有名なのが、発達心理学者エリクソンが提唱した「ライフサイクル理論」です。

 人生を、乳幼児期~老年期までの8つの発達段階に分け、それぞれの発達段階における心理・社会的な発達の課題を整理したものです。

 

 

 エリクソンは、思春期・青年期の課題として「アイデンティティの確立」を挙げています。

 

  アイデンティティ:自己同一性

 

 エリクソンの表現するアイデンティティとは、自分は他の誰とも違う自分であるという感覚と、過去・現在・未来にわたって自分は自分であるという「斉一性」と「連続性」を持つものであるという感覚の事を指します。

 

 アイデンティティの確立の為には「私は私である」という感覚を、他者からも感じられる事が、必要となります。

 その為、私は、思春期・青年期に、恋愛を経験する事が「アイデンティティの確立」に必要であると考えています。

 

  ☆性的な成熟による身体的変化

  ★自己意識・他者意識の高まりによる心理的変化

  ☆反抗期による親子関係の変化

 

 思春期・青年期に経験するこれらの変化は、いずれも「アイデンティティの確立」に欠かせないものです。

 

 

 

 「じゃあなミナト、元気でな。」

 「行かないでよ。」

 「いくら可愛い弟の頼みでも、それは無理~。」

 

 「ありがとな。あの家で、俺の味方は、お前だけだったよ。」

 「‥‥。」

 「なんで、お前が泣くの?」

 

 

 …「お前は、人を好きになったことがない。」…

 …「感情グッチャグチャになったら、ええねん。」…

 …なんというか、みんな、ほんと好き勝手言うよな~。‥今まで‥…

 

 …「ミナトはどう思ってるの?」「私の考えじゃなくて」「本当にそう思ってるの?」「ミナト時々何考えてるかわからない」「ミナトって自分がないよね」…

 

 …「別れました。」…

 …「お前、ココロないんか?」…

 …「ひどいな~ショック受けてるよ。」…

 …「嘘付け。」…

 …「まあけど、俺がへこんでもへこまなくても、向こうが別れたいと思ったって事実は変わらないじゃん?」…

 …「そういうとこやぞ!!」…

 

 …いやいや、感情(ココロ)の動きって、要は脳(アタマ)でしょ?どうにだって、制御できるでしょ…

 

☆「氷の城壁」11-2 栗木桃香が好きすぎるので、ただただ彼女の幸せを祈りたい - マンガ喫茶でまとめて読みたいようなマンガを紹介するブログ

 

  『氷の城壁』ミナトの子ども時代の回想と、現在の回想と、脳内言葉です。

 

 

 

  ♦反抗期がなくなりつつある

 

 近年の変化といえば、思春期の激しい反抗期がなくなってきたという事があります。

 親子関係を調査した研究では、思春期の親子関係が良好で親密になっているという結果が出ています。

 

 反抗期には、親から心理的に自立するという意味があります。

 反抗期がなくなる事に、問題はないのでしょうか?

 

 この続きは、また後程。