アドラー心理学

 アドラー心理学という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
 私も何冊か本を読みました。
 アドラー心理学を一言で表現するのであれば、「前向きな心理学」でしょうか。
 アドラーと対比する人物としてフロイトがいます。
 フロイトは、現在生じている問題は過去のトラウマに原因があると主張します。
 これに対し、アドラーは過去には問題はなく、過去に生じたことは出来事に過ぎず、その出来事に対して自分がどのような選択をしたかが大切であると主張します。
 たとえば、虐待を受けたことが原因で引きこもりになったと主張する青年がいます。
 フロイトは、虐待が原因で引きこもりが生じていると主張します。
 これに対し、アドラーは虐待は生じた出来事であり、虐待があったから引きこもりをしているのではないと主張します。
 虐待という出来事に向き合う中で、自身で引きこもりを選択したのです。
 フロイトは他者に原因を求め、アドラーは自身に原因を求めます。
 他者に原因を求めても何の解決にもなりません。
 たしかに虐待は辛い経験かもしれませんが、それが引きこもりの原因となるわけではありません。
 その問題に対するアプローチとして、引きこもり以外の選択もできたはずです。
 虐待の例に限らず、人は自然と他者や環境のせいにしてしまいます。
 他者や環境のせいにするのではなく、アドラーが主張するように自身と向き合い、選択を重ねることでしか道は開きません。