アーニャがね、よく言うんですよ。危ない目に遭っても、ははが助けてくれるから大丈夫だって。あの子が笑顔ではしゃいでいられるのは、ヨルさんが安全基地になってくれてるから2

 

 「本当にすみません。ロイドさん…そりゃあ、こんな腕力ばっかの女じゃ見限られちゃいますよね…。」

 「ボクは小さい頃…もう顔も覚えていないけれど、母の腕の中が好きだった。いつ爆弾が降ってくるとも知れない夜でも、母がそばにいるだけで安心して眠れた。母は強かった。」

 

 「アーニャがね、よく言うんですよ。危ない目に遭っても、ははが助けてくれるから大丈夫って。あの子が笑顔ではしゃいでいられるのは、ヨルさんが安全基地になってくれてるから。ヨルさんは、強いです。」

 …オレたち国家機関が血反吐を吐きながら築こうとしてる世界を、その腕一本で成し遂げてしまうんだ…

 『SPY×FAMILY』ヨルとロイドの会話、ロイドの脳内言葉です。

 

 

 私が中学・高校・大学と親しくしてきた女性の7割が、家族に何かしらの問題を抱えていました。

 私自身、住んでいる地域や学校等に不満を感じる事はあっても、家族に不満を感じた事がなかった為、家族間の問題があるという事は理解する事は出来ましたが、その問題が彼女達の人生にまで影響を与えている事に理解が出来ませんでした。

 家族の問題は家族の問題、彼女の人生とは別であり、今この瞬間にその家族はいないにも関わらず、どうして家族の問題がここで登場するのかと悩んだ経験が何度もあります。

 彼女達の主張を要約すると「私はあなたと親密な関係を築きたいと思うけど、家族の事が頭を過ぎって難しい。」というものでした。

 彼女達が学校で暗いキャラクターなのかというとそんな事はなく、むしろ明るいキャラクターであり人生を楽しんでいるかのように映るような存在でした。

 

 

 自分の事しか考えない親(精神的に未熟な親)にかまって貰えなかった子どもが、幼少期に孤独に陥り、大人になって苦しむ事があります。

 あなたが、仮に、大人になっても孤独をずっと感じているのであれば、子どもの頃に精神的なケアをきちんとして貰えなかった可能性が非常に高いです。

 

 このような親の行動は、一見極めて普通である事が多いです。

 子どもの健康を気にかけ、食事もきちんと与え、安全にも気を配っているのです。

 しかし、子どもとの間にきちんとした精神的な絆を築いていないと、子どもは心から安心する事が出来ません。

 

 親にかまって貰えない為に味わう孤独の痛みは、表に現れないだけで、身体の傷の痛みと何ら変わりありません。

 

 子どもには、親と精神的に親密な関係が築けていない事を訴える術がありません。

 そもそも、このような概念がありません。

 

 さらには、自分の親が精神的に未熟であると理解する事も困難です。

 ただ、直感的に寂しさを感じる。これが、子どもの経験する孤独です。

 精神的に成熟した親の元で育てば、子どもは孤独を感じても、親のそばに行けば、たっぷりの愛情を与えて貰え、絆を実感出来ます。

 

 

 精神的に未熟な親の元で育った子どもは、表面的には極めて普通の大人に成長します。

 しかし、心の真ん中には、ぽっかりとした穴が空いたままなのです。

 子どもの時に陥った孤独をずっと抱えたまま、進学し、就職し、結婚して子どもを育てています。

 あなたの周りにも、このような人が多く存在します。

 

 私は、病気や悩み・不安の根幹を、子ども時代にまで焦点を当てて観察する事が、問題の本質を探る上で最も有効な方法ではないかと考えています。