「親が子どもに教えなければならないのは、転ばない方法ではなく、むしろ、人間は転んでも何度だって立ち上がれるという事じゃないか?」
『エンゼルバンク』桜木の言葉です。
精神的に未熟な親に育てられた子どもは、精神的な孤独を経験します。
そして、どんな事をしてでも、親との繋がりを持とうとします。
こうした子ども達は、関係を築く代償として、自分の気持ちよりも、まず相手のニーズを優先する事を学びます。
自分に関心を持って貰う為に、相手を助ける役割を率先して引き受けるのです。
悲しい事に、このような思考や行動が、さらなる孤独をもたらします。
自分に必要なニーズを押し隠す事で、相手と心から繋がる事が出来なくなってしまうのです。
素行の悪い言動をする事も、このような方法でしか他者と繋がる事が出来ない為なのです。
中学時代、学校に来ない・高校に進学をしないような本格的な不良になる奴は、皆、家庭に問題を抱えていました。
中学3年生の時の進路相談、私の出席番号が1つ前の奴が上記のようなタイプでしたが、私は彼と母親が一緒に教室から出てくる様子を見て、瞬時に「この2人の関係性はヤバいな」と感じた事を記憶しています。
当時は、親子関係に関する知識等は無かったため、直感でしかありませんでしたが、おそらく私のその直感は当たっていたと思います。
親から精神的なサポートをして貰えず、親との繋がりが持てず、精神的に恵まれなかった多くの子どもは、とにかく早く大人になりたがります。
彼ら彼女らは、実際の年齢以上に大人びて見えるようになっていきますが、心の奥の精神的な孤独は消えていません。
彼ら彼女らは、まだ若いうちに、進んで大人の仲間入りをする事が多いです。
仕事に就いたり、性に対して積極的になったり、早々に結婚したりします。
彼ら彼女らは、大人になれば自由に過ごす事も、自分の居場所を手にする事も、出来ると思っているかのようです。
しかし、残念ながら、彼ら彼女らが、自由になる事も、自分の居場所を手にする事も、困難な事が多いです。
経済的に自立する事が困難な仕事しか出来なかったり、精神的な孤独を紛らわす為に誰とでも性行為をしたり、間違った相手と結婚したりしてしまうのです。
さらに、誰よりも早く大人になりたがっていた彼ら彼女らのはずが、20代になっても30代になっても親と同居していたり、1度も自分が生まれた地域から出て暮らした事がないような生き方をしています。
そして、そんな彼ら彼女らが、パートナーとして選択する相手も、同じように子どもの頃、精神的な孤独を感じていて、同じような境遇を生きてきた人となります。
子どもは、親を選べません。また、大人になってまで、自分の問題を親のせいにするという世界観は、私は好きではありません。
しかし、多くの相談者を見ていくと、どうしても、その問題の根幹が親と精神的に繋がる事が出来なかったという子ども時代にある事も事実です。
子どもの時に、親の精神的に未熟な部分を察知し、それを親に伝える事は困難です。
成長し、親も完璧な存在ではないという事が理解出来るようになり、仮に、親と精神的な繋がりを築けていないと感じたのなら、その思いから逃げずに、自身でその思いと向き合いましょう。辛いかもしれませんが、逃げていては、その辛さは後の人生に、何倍もの大きさとなり、あなたを襲ってきます。
人間は何度転んでも、立ち上がる事が出来るのです。