アーニャがね、よく言うんですよ。危ない目に遭っても、ははが助けてくれるから大丈夫だって。あの子が笑顔ではしゃいでいられるのは、ヨルさんが安全基地になっているから8

 

 「本当にすいません。ロイドさん‥そりゃあ、こんな腕力ばっかの女じゃ、見限られちゃいますよね‥。」

 

 「ボクは、小さい頃‥もう顔も覚えていないけれど、母の腕の中が好きだった。いつ爆弾が降ってくるとも知れない夜でも、母がそばにいるだけで、安心して眠れた。母は、強かった。」

 

 

 「アーニャがね、よく言うんですよ。危ない目に遭っても、ははが助けてくれるから大丈夫って。あの子が笑顔ではしゃいでいられるのは、ヨルさんが安全基地になってくれてるから。ヨルさんは、強いです。」

 

 …オレたち国家機関が、血反吐を吐きながら、築こうとしてる世界を、その腕一本で成し遂げてしまうんだ…

 『SPY×FAMILY』ヨルとロイドの会話、そして、ロイドの脳内言葉です。

 

スパイファミリー】心に残る!笑える! 名言・名シーンをまとめ ...

 

 

 

 「自閉症(ASD)」「注意欠陥多動性障害(ADHD)」を持つ子どもの母親から「子どもの言葉がキツイ。」等という相談を受ける事があります。

 たとえば、朝起こしても中々起きずに、学校の始業に間に合うギリギリに子どもが起きた場合、母親が「もう何でいつもこうなの。だから、起きなさいって言ったでしょ。」と声を掛けます。

 すると、子どもからは「起きるまで起こさないお母さんが悪いでしょ。」等という返答があります。

 

 よく見る子どもがいる家族の朝の光景に見えますが、常時、この状態が続き、母親が1言うと、子どもは2・3も言い返してくると、母親は困っています。

 しかし、よく上記の言葉を追ってみて下さい。

 母親の言葉と、子どもの言葉が似ている事に、気付きませんか?

 

 

 母親の言葉と子どもの言葉が似る理由は、2つあります。

 

  ①子どもは、言葉を覚える過程で、母親の言葉を模倣する事で、言葉を獲得する為

  ②母親と子どもが日常的に過ごす時間が長い為

 

 子どもは、言語獲得の過程で、母親の言葉が、最初のモデルとなります。

 この為、子どもの言葉は、母親の言葉に似ていくのです。

 

 

 

 人間の「発達」の要因という視点からも、見ていきましょう。

 

 

  ①環境説:人間の「発達」は、生後の環境により、大きく左右されるという考え方

  ②遺伝説:人間の「発達」を左右する要因は、遺伝により決まっているという考え方

  ③輻輳説:人間の「発達」は、遺伝的資質と、周囲の環境から受ける影響との相互干渉により起こるという考え方

 

 

 現代科学においては③輻輳説が最も有力であるとされています。

 「そりゃそうだろ」というのが私の感想ですが、ここで異なった視点を提供します。

 

 

 スイスの動物学者ポルトマンは、各種の哺乳類と比較して、人間の赤ちゃんは、著しく未熟な状態で生まれる事を発見します。

 ポルトマンは、これを「生理的早産」と呼びました。人間の赤ちゃんは早産?「生理的早産」についてのお話 | 日めくり子育てひろば

 

 たとえば、チンパンジーやウマ・ゾウ等は、誕生時から、目が開いており、感覚器や運動能力も発達しています。

 これに対し、人間の赤ちゃんは、親の手を借りないと生きていく事が出来ない状態で生まれます。

 ポルトマンは、生後1年までの乳児を子宮外胎児の状態(二次的就巣性)と呼びます。

 

 この事から、私は、人間という種は、他の哺乳類と比較し「環境」による影響を多大に受けるという仮説を立てています。

 否、若しかしたら、親が子どもに、自分ではコントロールする事が出来ない「遺伝」だけではなく、自分でコントロール出来る「環境」を与える機会を、与えられたのかもしれません。

 「進化論」の観点から見ると、その方が、人間という種が生き残る事が出来たという事です。

 

 

 私は、最近「環境説」を推しています。

 子どもの言葉は、本当に母親の言葉そっくりです。

 

 子どもの言葉を指摘する前に、母親自身の言葉を振り返る事が、結果的に子どもがキレイな言葉を使う事に繋がる事を約束します。