アーニャがね、よく言うんですよ。危ない目に遭っても、ははが助けてくれるから大丈夫って。あの子が笑顔ではしゃいでいられるのは、ヨルさんが安全基地になってくれているから。ヨルさんは強いです

 

 「そりゃあ、こんなわんりょくばっかの女じゃ見限られちゃいますよね…。」

 「ボクは小さい頃…もう顔も覚えていないけれど、母の腕の中が大好きだった。いつ爆弾が降ってくるとも知れない夜でも、母がそばにいるだけで安心して眠れた。母は、強かった。」

 

 「アーニャがね、よく言うんですよ。危ない目に遭っても、ははが助けてくれるから大丈夫って。あの子が笑顔ではしゃいでいられるのは、ヨルさんが安全基地になってくれているから。ヨルさんは強いです。」

 「未婚の(本当の意味で)の女性に言うのも失礼かもしれませんが、ヨルさんはもう立派なお母さんです。今さら母親役を替えるつもりなんてありませんよ。」

 『SPY×FAMILY』ヨルとロイドの会話です。

 

 

 子どもにとって、大きなストレスとなるのが、虐待といじめです。

 児童相談所における子どもへの虐待に関する相談対応件数は、右肩上がりとなっています。

 1997年には5,352件だったものが、2021年には20万7,660件にまで増えています。

 

 

 日本においては、子どもへの虐待は、下記の4つに分類されています。

  ①身体的虐待:殴る・蹴る・激しくゆする等

  ②性的虐待:子どもへの性的行為・性的行為を見せる・性器を触る触れさせる等

  ③ネグレクト:家に閉じ込める・食事を与えない・病気になっても病院に連れて行かない等

  ④心理的虐待:言葉による脅し・無視・子どもの目の前に家族に暴力を与える等

 実際の虐待のほとんどは複数のケースにまかがっており、1種類だけの虐待しか行われないケースは2割程しかありません。

 

 「どこからが虐待になるのでしょうか?」と質問をよくされます。

 虐待か否かの程度を見極める事は難しいですが、虐待する側の人間が、子どもを利用して何らかの精神的な利益を得ているかどうかで判断出来るのではないかと私は考えています。

 

 

 アタッチメントという言葉があります。

 アタッチメントとは、愛着という意味です。

 不適切な養育環境でなければ、子どもは親に対し、本能的な結びつきを感じます。

 

 転んで怪我をしたり、知らない場所に行ったり、大きな犬が近づいてきたりすると、子どもは本能的に親に近づきます。

 これをアタッチメント行動と呼びます。

 ところが、虐待を受けている子どもは、本来は安心感を与えてくれるはずの親が恐怖の源となっています。

 しかし、本能的には親に接近したい為、子どもは、非常に混乱をします。

 

 その為、アタッチメント行動を過剰に抑制するか、逆に過剰に表出するようになります。

 保育園や幼稚園等で、親でもないあなたに過剰に接してくる子どもがいたら、その子は若しかしたら虐待により、アタッチメントが正しく構築出来ていないのかもしれません。

 

 そして、子ども時代のアタッチメントが構築出来なかった経験は、大人になっても続きます。

 他者と良好な関係を、継続する事が出来ないのです。

 全てではありませんが、精神疾患やメンヘラを持つ人の多くは、子ども時代に親とアタッチメントを適切に構築出来ていない可能性が高いです。

 

 

 「…私のはただ、ずっとユーリの面倒を見てきたから、それっぽくやっているだけで…。」

 「…そうでうよ。幼い頃からヨルさんが積み重ねてきた、誰にも負けないスキルです。自信持ってください。なので、これからもアーニャの母役でいてくれたら嬉しいです。それとボクの妻役も。」

 「承知致しました。」

 『SPY×FAMILY』ヨルとロイドの会話です。