「すてたらやぁーっ!!」
「どうした急に!?」
「アーニャ、おかいどくだよ。」
「??」「ピーナツ買ってやるから、泣きやめ。」
「ぴーなつ!」
「ちち、アーニャねむい。あるけない。」
「あ‥!?」
…ダメだ。理解できん。この非合理的ふるまいを解読するためには、マニュアルが必要だ…
「育児に関する本や論文ですね。少々お待ちを。」
「ありったけください。」
「子育ての基本は、信頼感です。叱るより受け止めよう。子どもと同じ目線で。子どもは、自分の気持ちをうまく言葉にできません。察してあげましょう。尋問してはダメなのか‥。」
…世の親たちは、こんな高難度ミッションをこなしているのか…
『SPY×FAMILY』アーニャとロイドの会話、育児に関する本を求めるロイド、そして、ロイドの言葉と脳内言葉です。
子どもは、本当に言いたい事や聞きたい事を、ストレートに伝えられない事が、多くあります。
たとえば、弟や妹にやきもちを焼いていた兄や姉の場合「何で弟とばかり遊ぶの?」等とお母さんに聞きます。
そこで、お母さんは「そうかな?君とも一緒に遊んでいるよ。」と答える場合が多いです。
しかし、これでは、お兄ちゃんは、納得出来ません。
本当に伝えたかった事は、お母さんとの時間が弟に取られてしまったように感じた寂しさだったからです。
お母さんが「寂しい思いをさせちゃったね。明日は、2人で電車で遊ぼうね。」等という言葉を掛ける事で、初めて、寂しい気持ちを抱いてたお兄ちゃんの気持ちを満たす事が出来ます。
子どもは、本当に伝えたい事が、言葉の裏に隠れている事があります。
仕事や家事・子育てにと、時間と心の余裕のないお母さん・お父さんには、難しい事は理解出来ますが、子どもの隠れた意図を汲み取って答えていく事が、子どもとの繋がりを作る事に繋がります。
そして、これは、子育てだけではなく、仕事や友人関係においても、活かす事が出来るので、高難度ミッションと割り切って、実践して頂きたいです。
子どもの感情や物事の捉え方は、目に見えない為、子どもが質問を繰り返してくる時等には、言動を観察しながら、子どもの隠れた意図を想像してみてください。
実験と検証を繰り返す事で、高難度ミッションのコンプリート率は、確実に上がる事を、約束します。
人生の幸福度を上げる1番の要素は、何だと思いますか?
ハーバード大学が行った有名な研究では、85年に渡り2,000人を追跡した結果、人生の幸福度を上げる1番の要素は「人との繋がり」であるという結論が出ています。
人と良い繋がりを築く為には、まず、その人の話を聞く事です。
話している相手を大切に思い、相手の話に興味がある事を示します。
子どもは、親をロールモデルとして社会性を身に付けていく為、まずは、親子で良い関係性を築く土台となる聞き方を実験し、検証していく事が、大切になります。
心理学の世界では、相手の話を相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解を示し、肯定的な関心を持ち聴く事を「傾聴」と呼びます。
最近では、ビジネス書等でも取り上げられる事も多い為、御存知の方を多いのではないでしょうか?
「傾聴」は、アメリカの心理学者カール・ロジャーズによって提唱され、カウンセリングにおいて、最も重要な要素とされています。
食事の支度中に、子どもから「ブロックが出来た。」等と声を掛けられたら、一旦手を止めて「やったね。一生懸命作ったね。」等と興味を示し、肯定的な関心を向けましょう。
「今、食事を作っているから、後にして。」と言いたい気持ちは、強く理解出来ますが、一旦手をとめてみてください。
その行動の積み重ねが、将来、子どもが、幸福に人生を生きていく事に繋がります。
自分がどこかに所属していたい欲求は、アメリカの心理学者マズローが提唱する人間の基本的な欲求の1つであり、子どもにとって、とても大切です。
他者との繋がりは、脳の発達を促し、自尊感情や衝動のコントロール等を育てます。
スタンフォード大学の研究でも、所属感を得ている子ども程、健康に育ち、逆境を乗り越える力を持つ事が、証明されています。
子どもが、所属感を最初に得る機会は、家族との関係性です。
家族との関係性が、心身の発達にとても重要で、子どもは、家族に愛されていると感じる事で、自信が生まれ、問題解決能力が育まれ、その後の学校生活に限らず、生涯において、ポジティブな影響を受け続ける事が出来ます。
逆に、家族に愛されていないと感じると、自信は生まれず、問題解決能力も育たず、学校生活だけではなく、その後、他者と長期的な関係を構築する事が困難になります。
家族の一員であるという感覚、理解されているという感覚、一緒に楽しい事をする事が、家族の所属感を高めます。
「あなたたち、とっても素敵な家族ね。」
…そう見えたのなら、まあ、準備の1%くらいは、進んだと思うことにするか…
『SPY×FAMILY』の一説です。