アーニャがね、よく言うんですよ。危ない目に遭っても、ははが助けてくれるから大丈夫だって。あの子が笑顔ではしゃいでいられるのは、ヨルさんが安全基地になっているから22

 

 「私ずっと生き辛かったんだよ。叔父さん達は、実の子でもない私を育ててくれて、感謝もしてるけど、ずっと埋められない寂しさがあった。なんで私には、お母さんがいるのに、気にかけてすらもらえないんだろうって。」

 「だから、こうやって会いに来たんでしょ。仲良くしようと思ってるのに、変なこと言わないでよ。」

 

 「今またお母さんの気まぐれで、中途半端に優しくされたって意味ない。昔に戻って、一から私のこと、ちゃんと愛してよ。あの時の私がして欲しかったこと、あの時の私にしてよ。」

 「そんなこと出来るわけないじゃん。何言ってんの?」

 「ほんとだったら、一番大事にしてくれるはずのお母さんが、私のことぶったり捨てたりしたから、お母さんにそんなことされる自分って、一体なんだろうって‥自分の価値がわかんないんだよ。人付き合いも、うまくいかない。他人がずっと怖いし、私なんかとは別の世界に生きてるんじゃないかって、そういう思い込みで、大事にしたかった人のこと切り捨てたりしてた。」

 『明日、私は誰かの彼女』雪と雪の母の会話です。

 

雪&太陽&母親】明日カノついに最終章!!【明日私は誰かのカノジョまとめ】 | 学ぶLIFE

 

 

 ‥愛情・受容・理解・体験・遊び・愛着‥

 子どもが、必要となるものを挙げたら、キリがありません。

 これらを子どもにプレゼントしようと思えば、親は、子どもに多大な関心と多大な時間、さらに、多大なお金を提供しなければなりません。

 

 ところが、実際は、そう上手くはいきません。

 ‥仕事・家事・お金・学校・習い事・ストレス・睡眠不足・親の時間が取れない‥

 子どもに対して、多大な関心と多大な時間、さらに多大なお金を提供する事が出来る家庭は、恵まれたごく一部の家庭だけなのではないでしょうか?

 

 しかし、上記に挙げたものよりも、子育てにおいて、あなたの前に立ちはだかるものが存在します。

 それは、あなた自身が、子どもの頃に与えられた体験です。

 

 

  ☆自分が、どのように育てられたか

  ☆自分が、親から何を受け継いだのか

 

 これらの事と、きちんと向き合い、理解しておかないと、あなた自身の過去が、あなた自身を攻撃してきます。

 

 「昔、お母さんに言われた事と、同じ事を言っちゃった」

 このような言葉を、言ってしまった経験は、ありませんか?

 勿論、その言葉が、子どもが、求められ・愛され・安全に守られていると感じる言葉であれば、何の問題もありません。

 しかし、その反対の意味の言葉である事が、殆どです。

 

 

 仮に、子どもが、食事中に、子どもが食べ遊びを始めたり、席を立ち遊び始める事に対して、制御する事の出来ない怒りを感じてしまうとします。

 その場合、あなた自身が、子どもの頃、食事中に、親若しくは祖父母等に、過度に怒られたり、または、暴力を振るわれた経験があるのかもしれません。

 

 これのような感情の動きの意味を理解する事で、自分の感情は、目の前で起こっている事ではなく、過去の出来事に対して反応していると、考える事が出来ます。

 このような理解をすると、幼い頃の自分に「お前は、悪くないよ」と言ってあげると同時に、目の前の子どもに対しても、辛抱強く向き合う事が出来るようになります。

 

 ただ、2016年厚労省が実施した「乳幼児栄養調査」において、2歳以上の子どもの親の、8割が食事に関する困りごとを抱えていると答えています。

 食事は、楽しい時間であるという考えは、子育て世代にとっては、遠い昔の記憶となってしまいます。

 

 

 子どもの頃、あなたを愛してくれるはずの親が、時には、あなたを煩わしく思う事もあったでしょう。

 親が、あなたを鬱陶しい・腹立たしい・期待外れ等と思っていた時、あなたも、その親の気持ちを、感じ取っていたはずです。

 その時、感じ取った親の気持ちが、自分の子どもの言動により思い出されると、怒鳴ったり、癇癪を起したりしてしまう事になります。

 

 

 

 親になるのは、本当に大変な事です。

 一夜にして、子どもが、最も手の掛かる最優先事項となります。

 それも、週に7日・1日24時間・一時の休みもなく。

 

 子どもを持つ事で、自分の親が抱えていた問題にも気付くようになります。

 また、子どもを持つ事で、親に対して感謝の気持ちを抱いたり、親がどのような気持ちで子育てをしていたのかを知りたくもなります。

 さらに、自分が子どもの頃、親に言われた言葉を思い出したり、その時に自分がどのような気持ちになったのかを思い出したりします。

 

 これらの気付きを、子育てに役立ててみて下さい。

 自分が、子どもと同じ年齢だった時に、何をどのように感じていたのかを考えて過ごす時間は、子どもへの共感力を育ててくれます。

 あなたが、怒りを感じるような言動を子どもがした時に、その言動を理解し、共感する助けとなります。

 

 

 

 子どもにまつわる事で、あなたが、過度に感情的な反応をするのは、自分が子どもと同じ年齢だった時に抱いた感情から、自分を守る為の手段なのです。

 子どもの言動が、過去の自分の失望・孤独・嫉妬・怒り・悲しみ・欲求等の引き金となる事を、無意識のうちに、恐れているのです。

 その結果、子どもの感情に寄り添うよりも、怒ったり・ストレスを溜めたり・パニックに陥る等の安易な選択を取ってしまいます。

 

 子どもに対して、過度に感情的になってしまう背景には、あなた自身の子ども時代の経験という別の物語がある事を、知って下さい。

 自分の感情の背景に、常に筋の通った物語が見つかるとは限りませんが、別の物語がある事を頭の片隅に置いておくと、役に立ちます。

 そして、これは子育てに限らず、家族関係・友人関係・仕事上の関係等、全ての人間関係にポジティブに働きます。