「やっぱ変だよね。1人でフラフラしてんの。」
「‥ううん、変じゃないよ‥。人といると‥やっぱり‥誰かといる時の自分になることが多いから‥私は、1人の時間‥自分が自分でいられる時間は、すごく大事。」
「‥‥俺んちね、母さんすっごい俺に優しいの。父さんも怒ってるとこほとんどみたことないし、弟も妹も‥俺に懐いてて‥けど、たまに思うんだよ。俺いる?って。」
「なんかずっと自分1人ふだけ家族の中で違う感じしてて、みんな優しいのに、何の不自由もないのに、俺ほんと贅沢なんだけど‥考え出すと止まらなくて‥ずっと逃げてんの。」
…「何も考えないの。ぼーっとしたい。」…
「ヨータ‥思うことや考えることを責めちゃ駄目だよ。」
…気持ちが痛いほどわかる…
「何でこんなこと思ってしまうんだろう‥考えちゃうんだろうって‥自分を責めれば責めるほど、どんどん自分のこと嫌いになっていくでしょ‥?」
…環境から逃げたところで、自分からは逃げられない…
「‥‥すごいね。こゆん。お見通しだね。」
『氷の城壁』ヨータと小雪(こゆん)の会話です。
「〇〇ちゃん、今幸せ?」
あなたの友達が、あなたの子どもに質問をしました。
「ううん。そうでもない。特に幸せとは思っていない。」
あなたの子どもが、答えました。
これを聞いていたあなたは、友達が帰った後、子どもに何て言って話し掛けるでしょうか?
「バカな事を言わないで。お前は、幸せな子ども時代を過ごしているよ。」
「何が不満なの?これだけ、あなたの為に時間もお金も掛けているのに。」
上記のような言葉を投げかける親が多いのではないでしょうか?
その気持ちは、とても理解出来ます。
きっと親であるあなたは、子どもの為に、1日24時間、1週間休む事なく、自分の時間を犠牲にし、自分に掛けるはずのお金も子どもの為に掛けてきた事でしょう。
しかし、親であるあなたに、子どもの気持ちをコントロールする事は出来ません。
親であるあなたは、自分を幸せにする物事は、子どもも幸せにすると考えますが、必ずしもそうではありません。
また、子どもが、どのように感じるのかは、子どもの自由なのです。
子どもの感情を無視したり、否定したりし続けていると、子どもの未来の健康を害する可能性が高くなります。
私が、仕事において精神疾患を持つ人と関わる中で、その原因を分析していくと、その人に現在生じている物事ではなく、子どもの頃に親との関係で、自身の気持ちを受け止めて貰えなかった事が原因にある事が多いです。
親であるあなたは、自分の反応に無自覚だったり、子どもがネガティブな発言をした場合に相手にしない方がいいと思っているかもしれません。
とりわけ、子どもが、幸せでない時、私達が選ぶ反応の1つは、その感情を否定する事です。
子どもの感情を軽視し、目を逸らすように仕向けるのです。
その為のアドバイスをしたり、叱ったりして、幸せでない子どもの感情を、捨てさせようとするのが適切な行動であると感じています。
その気持ちも、理解出来ます。
愛する我が子に、不幸でいてほしいとは、多くの親は思いません。
子どもの不幸や怒り等のネガティブな感情に対して、親がオープンでいれば、不安や危険を感じてしまう気持ちも、理解出来ます。
しかし、そのような子どもの気持ちを、親が否定をした所で、その感情は消えるわけではありません。
寧ろ、見えない所で、その感情は増幅を続け、後に、あなたの子どもの人生に何倍もの複利となり膨らんだ状態で襲い掛かってきます。
私が、子育てに関してアドバイスを求められたのであれば、伝える事は、1つです。
☆子どもの感情をあるがままに、真剣に受け止める事
…性別も、体格も、性格も、全て私と違うヨータのことが羨ましくて、ヨータの優しさは、心の「強さ」や「余裕」からくるものだと思ったけど、もし「我慢」や「諦め」から来るものだったら…
…そんなの‥辛いだけだよ…
「ヨータ、良い人なんかじゃなくていいよ。だから、自分を責めないで。」
「‥‥はぁぁ~ありがと、こゆん。変な話して、ごめんね。」
「ううん。変じゃない。」
「ー‥こんな話、人にしたの初めて。ミナトとかが相手だったら、絶対言ってない。」
「‥ヨータって、雨宮くんのこと大好きだよね。」
「!全然?」
「そうですか。私で良かったら、いくらでも話聞く。罪悪感抱え続けるぐらいなら、吐き出した方が良いよ‥。」
『氷の城壁』小雪の脳内言葉と、小雪とヨータの会話です。
親に理解される代わりに、感じる事自体を禁じられたり、放置されたり、怒られ否定されたり等すると「現実」と「感情」のズレが、蓄積されていきます。
これにより、不快感や苦痛、更には逆境に耐える能力、若しくは立ち向かう能力が、どんどん低下していきます。
困難な感情を押し込めておくスペースがいっぱいになると、感情の行き場がなくなります。
これが、私が心理学的に分析をした精神疾患が生じるメカニズムです。
どんな親でも、間違いをします。
重要なのは、間違いではなく、その間違いに、どのように対処するかです。
だから、これまで、子どもが不幸だったり、怒ったりした時に、否定をしたり、気付かないフリをしてきたとしても、その方法を、今日から変えていけばいいのです。
これまでの対応が間違いであったと思うのなら、子どもに、あなたの気持ちを素直に伝えましょう。
私は、立場に関係なく、間違いを認め謝罪出来る人は素敵であると思いますし、私自身そのような人でありたいと思っています。
間違いであると思ったのなら、子どもに謝罪をしましょう。
子どもの感情に反応する時に、子どもが見て貰えている・聞いて貰えているというものに、今日から変えていきましょう。