…兄ちゃんのこと慕いながら、俺の行動の根本は、兄ちゃんみたいになりたくなかったから‥?
…「湊は海斗と違って」「どうして海斗はー」「もう海斗なんかほっときなよ」…
…いや、違う。俺は、兄ちゃんが何で嫌われてるのか、理由がわからなくて、ただただ怖かった…
…「湊はさ、自分がどう思うかは言わないで、空気を読むタイプだもんな。言いたいことも、思ってることも、ぜーんぶ内側に溜め込むの。昔からずっと。」…
…場の空気を読もうとするのも、あの時感じたモヤモヤも‥知りもせずにレッテルを貼られることや、同調圧力に対しての反抗心や正義感なんかじゃなくて、嫌悪の理由がわからなかったから…
…そんなことで?‥というか、理由なんかどうでもいいのか…
…刺される人・刺す人・今は刺されてない自分…
…その差は、ものすごく曖昧で、人(みんな)が向けている悪意が、対象(そのひと)にだけ向くものとは思えなかったから。何かを間違えると、いつも自分に向く日が来ると思ったから…
…もし俺が、今の俺じゃなくなったら?兄ちゃん、俺‥兄ちゃんが思うような優しい人間じゃない。人の為に気を使っていたんじゃない。人の為の優しさじゃない…
…調和を取りたがるのは、自分が空気に耐えられないから。手を差し伸べていたのは、いつか自分がそうなった時、誰も助けてくれないことが怖いから。好意を拒絶できないのは、自分が反対の立場だったらを想像してしまうから…
…全部優しさなんかじゃなくて、ただ自分が孤独になりたくないから‥弱さだ。俺は、昔からずっと、家族も、友達も、誰のことも、完全に心を開くほど、信じることが出来ない…
…俺‥このままじゃ駄目だ‥人に心も開けないのに‥頑張るフリして、桃香を傷つけてる。‥自分の為に、人を利用しているだけだ。‥‥このまま付き合ってちゃダメだ…
『氷の城壁』湊の脳内言葉です。
子どもと外出する時、子どもは、突然「服を着たくない」若しくは「この服は嫌だ」と言います。
急いでいる時、大抵の親は無理矢理服を着させようとしますが、親がそのような言動を取ると、子どもは、さらに嫌がります。
困った親は「じゃあ、自分で着て」と言いますが、その時には、子どもは、すでに服を着ない事を決めています。
では、親は、どうすればいいのでしょうか?
最初に子どもの気持ちを尊重して、感情を受け入れる時間を取ればいいのです。
無理矢理つかまえるのではなく「服を着る時間だよ」と予告をし、その後、どのような反応をするのか観察してみましょう。
子どもの感情を、否定して、それが近道になる事は、ありません。
子どもの安全を守り、食事を与え、片付けては出してを繰り返し、子どもの為に仕事の成果を上げお金を稼ぐ為でも大変なのに、子どもに共感を示す必要があるなんて、子育てとは、何て大変なのでしょうか?
それでも、たとえば、小学生の子どもが、あなたが急いでいる時に「学校に行きたくない」と言った時に「行きなさい。この話は終わり」と言うよりも「あなたは今、学校に行きたくないのね」と言う方が、子どもにとっては、ずっとあなたの言葉が届きます。
ここから、対話の道が開けるのです。
子どもも、親の言動を、学んでいきます。
親が、対話の道を断つような言動を繰り返す場合、子どもは「親に話をしても無駄」と学びます。
これにより、親に、自分自身の気持ちを、話す事を辞めてしまいます。
そして、この負の連鎖は、子どもが、大人になってからも、ずっと続いていきます。
人との関係作りは、親を通して学ぶ為、親に話しても無駄と学んだ子どもは、誰に対しても、自分の気持ちを伝える事が出来なくなるのです。
…場の空気読んで、こうすればいいんでしょ?ってうまいことやってる気になったり、自己満でお節介やいた挙句、相手が自分を見てくれれば悦に入って「手段」と「目的」の比重が変わってきてることにも気付かずに「ほら大丈夫」「俺は正しいでしょ」って思ってた…
…「ミナトって、ほんと自分がないよね」…
…本当は、からっぽな自分を、他人で埋めてただけなのに…
『氷の城壁』湊の脳内言葉です。
子どもの感情を受け入れるより、子どもが感情を示した事を、叱る方が簡単に思えるかもしれません。
仮に、あなたが、親から感情を否定されて育った場合には、子どもの感情に付き合う事あ、未知の世界に飛び込む事のように感じるかもしれません。
そのような場合、あなたは、上の世代から受け継いできた感情の鎖を断ち切り、子どもの心の健康の土台を築こうとしているのです。
勿論、すぐには上手くいきません。
でも、大丈夫。
子どもの感情に反応しない事があったり、過剰に反応してしまった事があったとしても、子どもにその旨を謝罪し、態度を改める事が出来るのなら、子どもの心の健康を害する事には繋がりません。
その為には、親であるあなた自身が、自分の感情に、たとえ人には言えないような負の感情であっても、その感情自体を否定しない事が必要です。
自分自身の感情を取るに足らないものと片付けていては、子どもの感情の受け皿になる事は出来ません。
親がヒステリックになり、自分の感情を受け入れられないようでは、子どもが心の健康の土台を築く事が出来ない事は、誰もが想像出来るでしょう。
これは、子育てに限らず、パートナーとの関係、友達との関係、仕事上の関係、全ての人間関係に通じます。
大人であるあなたにも、自分自身の感情を扱う練習が、必要です。
自分自身の感情を、抑えつける事なく、ヒステリックになる事もなく、感じたままを受け入れ、その中で、自分自身をなだめる方法を見つける。
或いは、周囲の人が、それを手伝ってくれるのを受け入れる。
自分自身を定義するのではなく、自分自身の感情を定義する事も、有効な方法です。
「私は悲しい」「あなたは悲しいのね」という言葉も悪くはありませんが「私は悲しく感じている」「あなたは悲しく思っているように見える」等という表現は、いかがでしょうか?
このような言葉を多用する事で、悲しみと同化するのではなく、悲しみという感情を客観的に観察する事が出来ます。
この続きは、また後程。