…大人は、アイスを食べないと思ってた…
「母さんは、食べないの?」
「いいのよ。大人は、脂質や糖質が、すぐ体に現れるからね。ほら、さっさと食べちゃいなさい。」
…1人で、ここまで来たわけじゃない…
…背中を追いたい人がいて、毎朝お弁当を作ってくれる人がいて…
「母さん、今度誕生日だろ。これ誕生日プレゼントの温泉券。父さんと用意したんだ。その日は学食で食べるし、夕飯も父さんと作るから、1日リフレッシュしてさ。」
「私の教育がいいのかしら?」
「ただいまー。」
「おかえり。どうだった?」
「もー最高よぉ。ありがとうね。あ、そうだ。帰りに駅で買い物してね。大喜の練習着古くなってきたから、買ってきたわよ。あとスポドリの粉も安くて、ポイントで500円引き。靴下は高かったから。」
「母さんの誕生日なんだよ。」
「母さんは、いつでも大喜のお母さんなんだから。」
「37アイスじゃない!」
「母さんの誕生日だからね。」
「母さんって、アイス好きだったっけ?」
「大好物だぞ~。」
「でも、昔は…」
「子供の面倒見ながら食べるのは、大変なんだよ。」
…1人の人が、自分より優先して、大切に育ててくれたから、プチトマトは食べれるようになったよ。逆にビームは打てなくなったけど、今日が終わったら、アイスを奢らせてよ。ありがとうの気持ちを込めて…
『アオのハコ』大喜の家族との回想です。
自分の心のHPが不足している時に、子どもの為に、時間を割き、常に子どもの感情を受け止める事は、難しい事です。
理由は、様々でしょう。
疲れているからかもしれませんし、仕事において心のHPを奪われたからかもしれませんし、自分の親にそのような対応をして貰った経験がないからかもしれません。
親として、子どもを養育する為には、まず、自分が養育された経験が必要です。
仮に、あなたが幸運にも自分自身が親から養育された経験を持ち併せていたとしても、あなたの心のHPは限られていますし、毎日24時間続く子育てという長期戦に耐える事は至難の業です。
もし、あなたの心のHPが枯渇してきたように感じたのなら、誰かのサポートを受ける事をお勧めします。
サポートには、家事の手助けや、カウンセリング等があります。
その中でも、私が最も効果的であると感じるのは、パートナーと話を重ね、共感して貰う事です。
自分の親と異なる子育てを目指して試行錯誤するような場合にも、その話を聴いて貰うのです。
子育てをする中で、あなたが何をどのように感じたとしても、その気持ちを否定する事なく、ただ話を聞いてくれる人がいれば、それはプロのカウンセラー等でなくても十分です。
たとえ、あなたの気持ちが夜中に何回も泣いて起こす子どもを投げ飛ばしたくなったような気持ちを抱いた旨を話しても「あなたの立場になったら、そう感じるのは自然よね。」等と受け止めてくれるようなパートナーがいれば、子育てという長い闘いを、一緒に乗り越える事は想像に難くありません。
子どもを傷つけるのは、親が抱く感情や妄想等ではなく、親が実際に子どもに対して、どのように振る舞うかなのです。
親として、理想的とは言えないような考えについて、人に話す事等出来ないと思い込んでしまうと、あなたの感情や妄想はより大きくなり、より手に負えないものとなっていきます。
話が出来る事・感情を浄化出来る相手がいる事は、子育てに限らず、あなたが生きていく上で、欠かす事の出来ないものです。
話が出来る事・感情を浄化出来る相手がいれば、良くない感情や妄想を実行に移して、子どもを傷つけてしまう事も防ぐ事が出来ます。
…ちびのミイはドアのところで、ふりむいていいました…
「あたいは外で寝るから、ベッドはいらないわ。ベッドってつまんないもの。」
「いいわよ。雨がふりだしたら中で入っていらっしゃいね。」
…と、ムーミンママは答えました…
『ムーミンパパ海へいく』ミイとムーミンママの会話です。
話が出来る事・感情を浄化させる事が出来る相手に相応しいのは、あなたの感情を受け入れてくれる人。
そして、あなたが言いたい事を理解し、あなたの感情に圧倒される事なく、全てを受け入れてくれる人です。
このような心のサポートが親であるあなたに必要なのは、子どもも、同じように親であるあなたからのサポートを必要としているからです。
子どもを支えられる親子関係を築くのは、親であるあなたの仕事です。
私は、ベビーシッターを頼む事も、子どもを祖父母に面倒みて貰う事も、保育園・幼稚園に預ける事にも賛成ですが、子どもが最も時間を共にするのは親であり、子どもの心を支える事が出来る存在は、親にしか出来ないと思っています。
子どもには、人生において、安全な拠り所となる人間関係が必要です。
心理学では、この親と子どもの関係を「安全基地」と呼びます。
子どもは、いつでも安心して帰る事が出来る親という「安全基地」がある事で、外の世界を探索する事が出来るのです。
親であるあなた自身が、心のサポートを受けていなければ、そのようなサポートを子どもに差し出す事は出来ません。
日本人は苦手である事が多いですが、1番近くにいるパートナーに、あなたが必要な助けについて話す機会を持ってみてはいかがでしょうか?