アーニャがね、よく言うんですよ。危ない目に遭っても、ははが助けてくれるから大丈夫だって。あの子が笑顔ではしゃいでいられるのは、ヨルさんが安全基地になっているから29

 

 「弱い奴等に気を遣うのは、疲れるよ。ホント。」

 「弱者生存。それがあるべき社会の姿さ。弱気を助け、強きを挫く。いいかい悟、呪術は非術師を守るためにある。」

 「それ正論?俺、正論嫌いなんだよね。」

 『呪術廻戦』五条悟と夏油傑の会話です。

悲報】「呪術廻戦」、五条悟のイキリシーンwwwwwwwwww | 超マンガ速報

 

 

 子どもが友達から、自分が遊んでいるおもちゃを「貸して。」と言われた時、子どもはおもちゃを貸さないといけないのでしょうか?

 日本においては、上記のような場面で「いいよ。」と答え、友達に、おもちゃを貸す行動が賞賛されます。

 私は、この事に、子どもの頃から、違和感を感じていました。

 

 それでは「言った者勝ち」ではないかと‥。

 謝罪された時も、同様です。

 自分がどれだけ嫌な事をされたとしても、相手が謝罪をしたら、許さないといけない空気が、日本には蔓延しています。

 

 私は、これは、不公平であると思います。

 その相手に、長期間に渡り嫌な事を言われ続け、され続け、その言動により悩まされ続けてきたのに、相手が支払う対価は「ごめんなさい。」という一言だけというのは、不公平ではありませんか?

 私は、謝罪をされても、許さないという選択肢があって、然るべきであると考えています。

 

 

 人におもちゃや遊びを譲れない理由を、心理学的に、分析します。

 人の活動には、周期があります。

 その為、途中で中断をしなければならない事は、不快感を残します。

 

 気の済むまで遊ぶ事が出来れば、満足して、あっさりと「どうぞ。」等と出来たりがします。

 また、夢中になっている状態(フロー状態)の時に、その活動を止める事は、大人にとっても難しい事であると同時に、子どもの可能性という機会(チャンス)を奪う行為にもなります。

 その為、大人は簡単に「お友達に貸してあげて。」等と言いますが、遊びの途中で、おもちゃを譲るという事は、とても難しい事なのです。

 

 勿論、友達に「貸して。」と言われた時は、社会性を育む機会にもなります。

 ここで、親に必要なのは「貸してあげて。」等と言う事ではなく、子ども自身が「終わったら貸すね。」等と自分の気持ちや考えを言葉で伝える事が出来るような支援をする事です。

 

 まずは「お友達が貸してって言ってるよ。一緒に遊ぶ?終わったら貸してあげる?」等と、子どもの気持ちや考えを聞いてみましょう。

 そして、子どもの気持ちや考えを尊重し、子ども自身が、お友達に、自分の考えや気持ちを伝える事が出来るような支援が出来れば、この経験は、将来子ども自身を護ってくれる貴重なものとなります。

 

 仮に、子どもが、お友達におもちゃを貸す事が出来たら「貸してあげられたね。お友達嬉しそうだね。」等と、その言動を、しっかり褒めましょう。

 こうして、子どもは、貸す事で、相手が喜び、自分も嬉しい気持ちになるという経験を得る事が出来ます。

 この「貸してあげる」という行動が、困っている友達がいたら手を差し伸べる・友達が喜ぶような事をする等、様々な社会性の発達に拡大していくのです。

 

 心理学に表現をすれば、社会から認めて貰えるという感覚を持ち、人との繋がりを感じられる事で、人生の満足感へと繋がっていく社会的報酬を獲得する事が出来るという表現となります。

 

 

 

 「貸さない。」という選択をしても、何の問題もありません。

 自分が夢中で遊んでいるおもちゃを「貸したくない」という気持ちを持つ事は、当然の気持ちです。

 「貸したくない」という選択をしたというだけなので、親は、子どもの気持ちや考えを尊重しましょう。

 

 この時、親は「貸して。」と言ってきた友達に対して、子ども自身が「今はまだ遊びたいんだ。」等と、断る事が出来るような支援をしていきましょう。

 大人でも自分の気持ちを大切にしながら、相手の気持ちも大切にするという事は、難しいです。

 このような能力をアサーション能力と呼びます。

 

 その為、中々子ども自身で、自分の気持ちを大切にしながら、相手の気持ちも大切にするような断り方をする事は出来ないでしょう。

 上手くいかない事が、当然なのです。

 その時には、子どもと向き合い、言い方をその都度振り返りながら、修正していきましょう。

 

 この繰り返しが、子どもにとって、自分の気持ちや考えを尊重して貰えるという信頼感に繋がり、自分で決めた事を守る事が出来たという自信にも繋がります。

 

 「貸して」「ごめんね」「待ってね」等のやり取りは、子どもの社会性やコミュニケーション能力を高める為の、大切な経験です。

 ただ言葉を教えるだけにならないように、その時、どんな気持ちだったのかを話し合い、言葉の背景にある子どもの気持ちに注目してみましょう。

 

 さらに、普段の生活の中で、親がロールモデルとして、自分の気持ちも、相手の気持ちも大切にするような言動を続けていると、その姿がロールモデルとなり、子どもも親の姿を取り入れていきます。