エリクソン

 エリクソンという発達理論を唱えた学者がいます。
エリクソンの理論は、有名ですが、エリクソン個人についてはあまり知られていません。
 エリクソンは、ナチスの脅威から逃れるため、妻と2人の幼い子どもを連れて、ウイーンからアメリカに逃げてきました。
しかし、すでに30代のエリクソンは、デンマークやドイツで過ごしていたため、英語が全く話せませんでした。
 言葉もわからない土地で、一家を養うため彼にできることは、児童分析の経験を活かし働くことのみでした。
ところが、アメリカでは精神分析は、医師にしか認められていませんでした。
 これに対し、エリクソンは大学も出ていません。
外国からやってきて、言葉もわからない人間が、深刻な心の問題を抱えた人の治療を行おうというのです。
その試みに、成果が期待できたのでしょうか。
 しかし、名高い精神分析医が長年治療を行っても、よくならない患者が、エリクソンと出逢うことで、顕著な改善を見せたのです。