「じゃあ、実験していいよね?」
「…リスクは大きい…かといって、こいつを検証しないワケにもいかないからな。」
「計画は、私がやっていいよね?エレン…わからないことがあったら、わかればいい…自分らの命を懸ける価値は十分ある。」
『進撃の巨人』ハンジとリヴァイの会話です。
徳川吉宗が、将軍になる未来等、誰一人として描く事は出来ませんでした。
吉宗は、1684年紀州藩の2代藩主・徳川光貞の四男として生まれます。
吉宗は、家康の血を受け継いではいるものの、徳川宗家となる徳川秀忠の男系の血筋でもありませんでした。
徳川宗家の血筋が途絶えた場合、尾張徳川家・水戸徳川家・紀州徳川家の徳川御三家から、将軍を輩出する事になっていました。
選定される順番は、尾張徳川家・水戸徳川家・紀州徳川家の順番でした。
尾張徳川家・水戸徳川家に男子が生まれなかった場合にのみ、紀州徳川家の嫡男が将軍として選ばれる事になっていました。
つまり、徳川宗家・尾張徳川家・水戸徳川家に男子が生まれず、さらに、四男である為、兄3人が亡くなり、その兄3人に男子が生まれていないという偶然が重なった時のみ、吉宗は将軍となる事が出来ました。
当時は、正室だけではなく、側室も数人いる事が当たり前の時代である為、現在よりも、子どもが生まれる確率は格段に高いものでした。
それでも、幸か不幸か、運命は、吉宗を将軍に導きます。
将軍となった吉宗が、まずやった事は、人口の調査でした。
どうするかではなく、何が起きているのかを把握する事を、吉宗は先行しました。
ブリガムヤン大学が、斬新なプロダクトを開発した経営者や発明家達、3,500人の仕事の仕方を調べた調査があります。
その結果わかったのは、イノベーションを起こす人程、観察に時間を費やすという事でした。
優れたイノベーター達は、いずれも身の回りに起こる小さな変化を察知し、それにより前例のない発明を生み出していました。
たとえば、オデオという小さなIT企業が、社内だけで動作する短文のメッセージ交換ツールを作成しました。
このツールは、最初は技術者が遊びで作ったものでした。
社内の上層部は、遊びで作ったツールが、社内において多く使われている事に気づきました。
驚いた上層部は、このツールを新型のSNSとしてリリースする事を思い付きます。
こうして生まれたのが、ツイッターです。
オデオ社が「社内で変なツールが流行っている」としか思わなかったら、ツイッターは世に出なかったかもしれません。
たなたま従業員が作ったツールの影響力を観察出来たからこそ、斬新なSNSを世に出す事が出来たのです。
優れたイノベーターは、そうでない人よりも、観察に1,5倍の時間を掛けていました。
斬新な発明を生む人程、身の回りの偶然に注意深く目を向け、そこで得た発見を幸運に変える事が出来るのです。
吉宗の発見は、また後程。