「アー。」
「なにやってんの?」
「自分の守り神にお供えしてる。人に何か貰ったら、憑神におすそ分けするんだ。憑神は、首の後ろから出たり入ったりしてる。トゥレンペといって、人間は誰でも産まれた瞬間に守り神が憑くと考えられている。」
『ゴールデンカムイ』フチ、杉本、アシリパの会話です。
憑神(つきがみ)と聞くと、迷信のようなものを想像してしまいます。
しかし、アイヌの考え方では、憑神はアイヌに限らず、人であれば誰にでも憑いているものです。
憑神は、人の行動や運命を、ある程度制御している存在と考えられています。
頭の中ではしてはいけないと思っている事をしてしまったり、言うつもりではなかった事を言ってしまったり、或いは、危ない目にあっている人を助けに行ったりする事は誰しもが経験があるのではないでしょうか。
このような言動をアイヌは、自分とは別の意思を持った存在が自分の中にいて、それにより上記のような言動をしているのだと考えています。
現代では、無意識や潜在意識に近い考え方でしょうか。
アイヌは、人が自分の意思だけで行動しているわけではない事を、古くから知っています。
この世界観を、古より、自分達の生活の中に組み込んでいる事は、現代の私達から見ても学ぶべき所が多いです。
この考え方は、メタ認知にも通じ、自分を自分から切り離して考える事にも繋がる為、心理学的にも心を安定する事に非常に有用です。
「心の中で、私のリトル本田に聞きました。どこのクラブでプレーしたいんだ?と。そうしたら、心の中でリトル本田がACミランだと答えた。そういう経緯があって、ACミランに来ました。」
おそらく、リトル本田もトゥレンペなのでしょう。
成功するかどうかを決める1番の要因は、運です。
運はコントロール出来る部分もありますが、コントロール出来ない部分も多いです。
コントロール出来ない部分に、悩んでも仕方ありません。
そんな時は、自分とは離れたもう1人の自分と会話をしてみる事を、お勧めします。
私達が毎日している行動は、あなた自身が決めた行動だけではないと認識した時、今までよりも謙虚に世界と向き合う事が出来るようになる事を約束します。