グラシアス、ナバス

 

 

 …チームで1番上手い人が、チームを背負う…

 …それは、もはや天才の宿命。義務なのだと思う…

 

 …彼らのワンプレーが、空気を作り、流れを作り、ゲームを作り、チームの勝敗を決め、苦楽を共にした仲間全員の運命を決めてしまったりする…

 …不器用な天才ほど、背負い続けてしまう…

 

 「俺は、野球は辞めた。未練も悔いもねェ。だから、都立(ここ)選んだんだ。」

 

 …彼らは、人生の99%を野球に費やしてきた人だ…

 …一般的な中学生がやるであろう娯楽は、全て捨てている。そういうクラスの選手(プレイヤー)であることは、一目見て気づいてしまった…

 …カバンの使い方すら、無意識レベルで右肩を守る。崇高な意識が、根づいている…

 

 …身体の一部になってしまった野球を引きはがすには、野球部すらない都立(ところ)へ行くしかない…

 …なのに、こんな都立(ところ)に、元凶がいるなんて、思わないじゃないかー…

 

 『忘却バッテリー』山田の脳内言葉と、藤堂の言葉、そして、再び山田の脳内言葉です。

 

忘却バッテリーの概要、あらすじ、登場人物紹介、魅力から要圭の生態、アニメ情報、作者情報など | アル

 

 

 

 …僕たちは、セビージャのカンテラで出会い、一緒に成長し、一緒に苦しみ、一緒にデビューした…。子供の頃からの夢を一緒に叶えた…

 …代表チームで再会したときは、いつも手を取り合って、不可能な夢を一緒に実現させた。ワールドカップとEURO。僕たちが想像もしなかったような成功を、変わらぬ友情とともに手に入れることができたね…

 

 2024年12月22日、22年間のプロフットボールプレイヤー人生に、別れを迎えたヘスス・ナバスに贈ったセルヒオ・ラモスの言葉です。

 

想像もしなかった成功を、変わらぬ友情とともに手に入れた ...

 

 

  2003年:プロデビュー

  2004年:チームの主力となるも、パニック障害を発症

 

 

 2005年、夏。

 バカンスを終えてチームのプレシーズンキャンプに合流したセビージャの選手たちは、照りつける太陽の下でジョークを言い、笑い合いながらランニングをしていた。

 突然、1人の選手がその輪から外れる。

 隣のグラウンドに向かって歩き、そこに腰を下ろした。

 心を襲う孤独感。

 彼――ヘスス・ナバスはこの時、プレーをすることに恐怖すら感じていた。

 

 

  パニック障害:突然動悸や息苦しさ、めまいなどの身体症状と強い恐怖を伴う発作(パニック発作)が繰り返し起こる疾患

 

 ナバスは、遠征先等、家族から離れると、パニック発作を起こしてしまう事を、繰り返します。

 とても、サッカーが出来る心の状態ではありませんでした。

 

 

 あなたの人生の責任を負っているのは、他ならぬ、あなた自身です。

 パートナーでも、親でも、同僚でも、上司でも、景気でもありません。

 

 自分の人生で起こる事について、他人を責める事をやめると、全てが変わります。

 

  ♦自分の人生に責任を持つという事は、人生の主導権を握って、主役になるという事

 

 あなたは「被害者」になるのではなく、主役として境遇を自ら作り出すか、少なくとも、自分が状況にどのように対処するを決定する力を得る事が出来ます。

 

 あなたの状況を他人の所為にするのであれば、あなたの人生を好転させる為には、他人を変えなければならないという事になります。

 しかし、他人を変える事は、殆どの場合、不可能です。

 

 これに対し、あなたが主役なのなら、自分の人生の中で、好きではない事を変える力を持つ事が出来ます。

 あなたは、自分の世界観・感情・行動を、コントロールする事が出来ます。

 仮に結果が気に入らないのであれば、あなたの世界観・感情・行動を、変えればいいのです。

 

 

 

  2007年:子供時代から共に過ごし、一緒にプロデビューを果たしたプエルタ死去

 

 パニック障害を起こしたナバスを、セルヒオ・ラモスとともに包み込み支えてきたプエルタが、2007年突然死してしまいます。

 

海王類の顔もシャンクスだった時のシャンクス - キャラクターグッズ

 

 

 プエルタの突然死をきっかけに、ナバスは、本当の意味で、1人立ちします。

 現在では、ヨーロッパのトップチームに心理学を専門とするメンタルコーチを入れる事は当たり前になっていますが、当時はメンタルコーチを入れるだけで、大きな非難の対象となりました。

 

  ★盟友の死

  ☆専門的なケアと向き合う

  ★苦楽を共にしてきた仲間の存在

 

 

 盟友の死から、5年後、家族と離れる事でパニック障害を繰り返していた若き少年は、青年、そして、1人の男に成長し、生まれ育ったスペイン・セビージャの地を離れ、海を渡り、後の世界一のチームであるイングランド・マンチェスターシティへの移籍を決断します。

 

 

 「良いとか悪いというのはなく、そのように考えるから、そうなる」

 シェイクスピアの言葉です。

 

 

 どんなに悪く見える経験でも、その中に隠された良い事を、探す習慣をつけましょう。

 いかなる状況でも悲観主義にならず、常に良い事を見つける習慣を確立すれば、人生の質を飛躍的に高める事が出来ます。

 

 経験それ自体は、中立です。

 経験に対する物の見方が、それを良い事にもすれば、悪い事にもするのです。

 

 

 「僕がつけている16番は、プエルタの背番号だ。僕はこの番号を、誇りや献身、犠牲の精神と一緒に身につけてきた。レジェスについても同じで、僕はこれまでに獲得してきたすべてを彼らに捧げてきたんだ。」

 「きっと、プエルタとレジェスは、僕のことを誇りに思ってくれているはずだ。だからこそ今、僕は幸せを感じられるんだよ。」

 

 ナバスの言葉です。

 

 

 イングランドの地で、4年間の挑戦の日々を過ごしたナバスは、セビージャに帰還します。

 プエルタが着けていた16番を、ナバスは背中に背負いました。

 

 

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 セビージャのホームスタジアム・サンチェスピスファンでは、現在でも16分になると、プエルタを称える拍手が鳴ります。

 これは、フットボールに語り継がれる美しい物語の一編です。

 

 

 人生を決定するのは、あなたの身に、どんな事が起こるかではありません。

 人生を決定するのは、あなたが、起こった出来事に、どう対処するかです。

 

 あなたに限らず、誰の人生にも、必ず悪い出来事が起こります。

 その経験に、どのように向き合うのかは、あなたの心の姿勢で、決まります。

 

 私達は「楽観主義」になる事も「悲観主義」になる事も出来ます。

 言い換えれば「良い面を見つける人」にも「悪い面を見つける人」の、どちらにもなれるのです。

 

 どちらを選ぶのかは、あなた次第です。

 

年内で現役を引退するヘスス・ナバス、最後のホーム戦で涙止まら ...

 

 

 1人の少年が青年となり、様々な経験を経て、1人の男になっていく。

 長くフットボールを観続ける事の、1番の魅力は、ここにあります。

 

 また、1人、綺麗な青い目をした男が、ピッチから去っていきました。