ドーパミンに導かれた人類

 神経伝達物質であるドーパミンは、やる気や幸福感、さらに運動や学習、意欲等にも関わる多岐に渡る物質です。

 その中でも、ドーパミンは報酬と関係が深い神経伝達物質です。

 報酬とは、お金や財産、目標達成、自己成長等です。

 また、褒められたり、承認されたりしても、ドーパミンが放出されます。

 

 そして、ドーパミンは私達人類に、未来の報酬を得る為に我慢をするという能力を身に付けさせました。

 長期的に計画を立てられるようになった人類は、これまでよりも格段に生存率を上げていきました。

 その典型が農耕であり、現代ではその特性を上手く利用した投資や保険等が世界中に流通しています。

 

 「それにもかかわらず、私の中で何ものかが燃え出すのだった。ここに居並んでいる不幸の行列が私を勇気づけ私に力を与えた。」

 三島由紀夫『仮面の告白』の一説です。

 戦争で人が死に、建物が燃える中、その光景とは相反する主人公の心情を描いています。

 ドーパミンは、報酬がなくても、放出されます。

 お金や成功等でなくても、苦しみや罪等の気持ちからも、ドーパミンは放出されます。その裏に、驚きがあれば、ドーパミンは放出されるのです。

 

 人類が世界中に散らばった人類最初の旅を、グレートジャーニーといいます。

 グレートジャーニーにより、アフリカを飛び出した人達は、ドーパミンの放出量が、アフリカに残った人達よりも高かった事が仮説されます。新しい事に挑戦する為には、ドーパミンの放出が不可欠だからです。

 その仮説を証明しようと、世界各国の人達の不安の感じやすさを調べた実験があります。

 その結果は、アフリカの人達は9割以上の人が不安を感じやすい傾向にありました。

 これに対し、日本人は3割程度の人は不安を感じにくい傾向にあり、アメリカに至っては7割以上の人が不安を感じにくい傾向にありました。

 この実験から、グレートジャーニーでアフリカから遠くへ旅立った人程、不安を感じにくい、つまりドーパミンの放出量が多かったと結論付ける事が出来ます。

 

 人類は、ドーパミンにより報酬を得て行動し、ドーパミンにより長期的な計画を立てられるようになり、ドーパミンにより新しい事へ挑戦が出来るようになりました。

 これは現代の私達も変わらず、ドーパミンにより仕事をし給与を得て、ドーパミンにより将来の為に資産を増やし、ドーパミンにより転職や起業をしています。

 人類は、これまでも、これからも、ドーパミンにより支配され、進化していきます。