「不運・不運。でも、その不運は、誰が呼び込んでるの?運なんて存在しない。単なる状況と状況の組み合わせ。その状況を作っているのは誰?この世の全ての不利益は、当人の能力不足。その通りじゃない?そもそもの始まりも、あなたが世間知らずで馬鹿だから、私に騙され、医者に弄られ、化け物にされた。ぜんぶあなたのせい。」
「傷つけるより、傷つけられる人に。優しくて素敵ね‥だからこんな目に遭う。あなたがヤモリを殺せたら、母子は助かったわよ。あなたの母親もそう。迷惑な姉の要求を無視していれば、過労で死ぬ事もなかった。」
「やめろ。母さんの事は‥。」
「どちらも選んでいるようで、どちらも見捨てている。母親も子を愛しているなら、あなたを選び、馬鹿姉は見捨てるべきだった。あなたもそう思ってたんでしょ?」
「‥ぼくは‥ぼく‥ぼく‥ぼくぁ‥かあさん、かあさん、かあさん、なんで僕を一人にしたんだ‥。寂しい。一人は嫌だ。かあさん‥僕は、ぼくは僕を選んで欲しかった‥僕のために生きてほしかった。」
「叔母を見殺しにしても?」
「見殺しにしても。」
「‥いい子。そうよ。一方を捨ててでも、何かを守らなくちゃいけない時があるの。あなたの母親は、それが出来なかった。両方を救うどころ、自分の命を失った。それは優しさじゃないわ。ただ弱いだけ。捨てる覚悟(つよさ)が足りなかった。あなたまだ傷つけられる側でいられる?」
『東京喰種』リゼと金木の会話です。
4年前、このシーンをアニメで観て、現在もこの言葉は、私の脳裏から離れないでいます。
私は、主人公が強くなり過ぎる漫画・アニメは好きではなく『東京喰種』にも同様の意見を持っていますが、上記のシーンで主人公・金木が覚醒した事には納得しています。
心に問題を抱えている人とカウンセリングを重ねていると、必ず子どもの頃の親との関係に行き着きます。
子どもの頃、親に愛して貰えなかった。子どもの頃、親に親の時間を提供して貰えなかった。子どもの頃、親に肯定的な言葉を投げかけて貰えなかった。
この状態が、数カ月・数年と続くと、それは呪いのように、子どもの脳内言葉を負の言葉にしていきます。
人が最も会話をするのは自分自身です。その自分自身の脳内言葉の殆どが負の言葉であるのなら、その子どもが他者と長期的な関係を築く事が出来なかったり、精神疾患になる事も納得出来ます。
幼き頃に、親と愛着関係を築く事が出来ず、親が安全基地になる事が出来ないと、その子どもは、誰とも長期的な関係性を築く事が出来ず、高い確率で精神疾患を発症します。
『街録ch』を観ていても、何らかの精神疾患を抱える事になった人の殆どが、子どもの頃、親と愛着関係が築けていない事に気づかされます。
仮に、あなたに子どもがいるのであれば、子ども以外の家族・親戚・友人等よりも、子どもを優先して下さい。
仮に、あなたにパートナーはいるのであれば、パートナー以外の家族・親戚・友人等よりも、パートナーを優先して下さい。
仕事は、しなければなりません。
子どもやパートナーを守る為には、お金が絶対必要だからです。
でも、それ以外の事柄では、子どもやパートナーを優先して下さい。
何も捨てる事が出来ない人は、優しい人ではありません。
何も捨てる事が出来ない人は、結局自分が最も大切にする必要がある人を捨てている事になります。
捨てる覚悟を、持ちましょう。