人々はよく人生を変化させてしまった出来事を恨む。でも、人生を変えるのは出来事ではなく、私達が持たせた意味なのだ

 

 …年に1度の社員総会。例年、社長や役員の挨拶、その年に活躍した社員の表彰等が型通りに行われる。当初は全国の支社から参加出来る為オンラインでの開催を考えていたが、対面を希望する声があり、オンラインと対面のハイブリットや単なる表彰だけではなく、講師を招いてのセミナーやクイズ形式の全員が楽しめるような企画等、工夫出来ないか考え、上司に提案をした…

 …すると、上司から「いらない、いらない。いつもこうしていて特に不満も出ていないから。いつも通りやっておいて。」と一蹴されてしまった…

 

 部下にしてみると、そのような「誰でもいい仕事」を自分がやらされているのかと、残念な気持ちになります。

 また、誰もが「仕事は大変ではなく、ラクな方がいい」と考えているわけでもありません。

 このような上司からの指示は、せっかく価値ある仕事をしようという部下のやる気に水を差す結果になってしまいます。

 

 

 「いつも、こうしているから」が決まり文句の惰性型。

 「それは禁止。ルールだから」が決まり文句の問答無用型。

 「理屈はいいから。早くやって」が決まり文句の思考停止型。

 

 このような上司が、現代においても、日本に大量発生しています。

 上記のような指示は、特に考えもしなくても勝手に人口が増え、これにより仕事が増え、そして年齢を重ねれば勝手に給料が上がっていた昭和の時代では正しかったかもしれません。

 しかし、人口は減り続け、仕事も減り続け、公務員・大企業等を除き年齢を重ねても勝手に給料が上がらない現代では正しくありません。

 

 

 「何をしているのか?」と問われたのに対し、レンガ職人の1人は「見ての通り、レンガを積んでいる。キツくて大変な仕事だ。」と不平をこぼしました。

 1人は「大きな壁を作っている。これで家族を養えるので有難い。」と答えました。

 もう1人は「歴史に残る大聖堂を作っている。多くの人の為になる素晴らしい仕事だ。」と答えました。

 

 「レンガを積む」という同じ行為にも、その意味や意義、目的を理解すると、全く異なるものとなっていきます。

 3人目のレンガ職人のように、上司がすべき仕事は、部下に仕事の背景や意味・目指すべき価値観等をきちんと伝え、共有する事です。

 仕事の本質を理解する事で、部下は指示されるまでもなく率先して最適な行動を取る事が出来るようになります。

 

 

 価値観の共有に欠かせないのが「ゼロベースシンキング(本質追及)」です。

 現状ある価値観や判断基準を伝えるだけえではなく、同時にそれまでの常識を疑い、あらゆる事を「ゼロベース」で考える事で、会社は進化していきます。

 その為には、新入社員や中途入社、または仕事内容の事異なるお客様等からの「これは何故必要ですか?」等の素朴な疑問にも、向き合う事が大切です。

 

 常に原点に立ち返り「ゼロベースシンキング」を習慣化する事で、共有すべき価値観や判断基準を風化させる事なく、常に進化させる事が出来ます。