700万年前、人とチンパンジーは袂を分かち、猿人が誕生しました。
その後、人類は順調に狩猟生活を送っていたわけではありません。
200万年前、大規模な気候変動により、地球の温度が低下すると、東アフリカの地勢は一変しました。
森林地帯が減少し、広い草原が出現したのです。現在私達が、イメージするようなアフリカの姿です。
生息環境の変化に伴い、食料の調達方法も変化しました。これまでよりも、広範囲を移動しなければ、獲物を追い、死骸に残った肉をあさり、木の実を採集することも出来なくなったのです。
この自然選択により、私達の身体にも変化が生じてきました。走るのに適した身体的特徴を持った人類が生き残り、現在のホモサピエンスのような身体的特徴を有するに至りました。
400万年前の猿人は、直立歩行をしていましたが、樹上で過ごす時間が長かった為、曲がった足をしていました。また、枝をつかみやすいように足指が長い特徴があります。これは、木の上で暮らすには有利ですが、走るのには適していません。
現代人のように、がっしりとして扁平な地面を蹴りやすい足が登場したのは、100万年前から200万年前の間です。
その頃に見つかったホモエレクトスは、猿人と比較し、大腿骨が1,5倍長く、肩幅が広く、前腕が短い身体的特徴を持っています。
これらの身体的特徴は、いずれも走りやすくする為のものです。
私は、最近人の身体は美しいと感じています。大きな臀筋と長いアキレス腱は、身体に推進力をもたらします。さらに、人には霊長類の中で唯一、項靭帯という頭蓋骨と脊椎を繋ぐ繊維性膜が備わっています。この項靭帯のおかげで、走っても頭がグラグラしません。
鏡に映る全身を観察すると、人の身体は走る為に進化してきたことを知ることが出来ます。