「違うのは、このなんだかんだ言うという部分なのね、きっと。なぜ多くの人が車に轢かれて死んでいる猫を無視し、まるで何も見えなかったかのように通り過ぎるのかと言えば、その猫を埋葬することが危ういからよ。自分がいい人・善人であることを周囲に知られることは、人間社会では非常に高いリスク。つけ込まれる可能性が非常に高い。」
『化物語』戦場ヶ原の言葉です。
日本人は、海外の人に比べて真面目で親切と言われます。
たしかに、海外に行くと、皆無表情で生活をしており、日本人のように愛想笑いをする事はありません。この表面的な部分だけを切り取り、日本人が親切というのはどうかと思いますが、外国人が日本人に対して、真面目で親切であるという印象を抱いている事は間違いありません。
その理由は、遺伝子に起因しています。
セロトニンという脳内物質が、私達の幸せという感情を生み出します。
精神を安定させ、不安を払拭し、リーダーシップを発揮する時等に、セロトニンの分泌が必要になります。
つまり、セロトニンの不足は、不安や恐怖を助長する事に繋がります。
セロトニンの分泌量をコントロールするセロトニントランスポーター遺伝子には、SS型・SL型・LL型の3種類があります。
それぞれの型の分泌量は、個人により異なります。
SS型が多い人は内向的で不安を感じやすく、SL型が多い人はおおらか、LL型が多い人は外交的で楽天的となります。
日本人は、内向的で不安を感じやすいSS型の人が65%、おおらかなSL型の人が32%、外向的で楽天的なLL型の人が3%という結果でした。
これに対し、アメリカ人は、内向的で不安を感じやすいSS型の人が20%、おおらかなSL型の人が49%、外向的で楽天的なLL型の人が31%という結果でした。
この結果から、日本人は、心配性で不安を感じやすい人が大半である事が理解出来ます。
日本人が真面目で親切なのは、心配性で不安を感じやすい事の裏返しかもしれません。
心配性で不安を感じやすいから、人に対して親切に真面目に接する。さらに読み解けば、人から悪く思われるのが怖いから、人に対して親切に真面目に接しているのかもしれません。