人間とは犠牲がなくては生を謳歌できぬ獣の名

 「正義の味方?誰も傷つかない世界だと?おかしなことを。誰も傷つかず幸福を保つ世界はない。人間とは犠牲がなくては生を謳歌できぬ獣の名だ。平等という綺麗事は、闇を直視できぬ弱者の戯言にすぎぬ。ー雑種、お前の理想とやらは、醜さを覆いかくすだけの言い訳に過ぎぬ。」

 『Fate』英雄王ギルガメッシュの言葉です。

 

 英雄王の言葉通り、残念ながら誰も傷つかずに幸福を保つ世界等、存在しません。

 そのような世界であるならば、過去戦争は起こらなかったはずですし、昨今であれば、パンデミックも、ロシア・ウクライナ戦争も起こらなかったはずです。

 いじめをなくす方法ではなく、いじめを回避する方法を学びましょう。

 人を信じるのではなく、信じられる人と信じられない人がいる事を学びましょう。

 日本人の多くの人が、自分の苦労を他人にも押し付けようとする意識が、自然と働いている事を学びましょう。

 

 日本人の無痛分娩の利用率は、5%程です。

 数十万円の費用が生じるとはいえ、あまりに少なすぎる数字です。

 この背景には「お腹を痛めて生んだ子どもだから神話」があります。

 しかし「お腹の痛みをあまり感じずに生めた子どもだから可愛くない。」という親を私は見た事がありません。

 科学の力で、出産時の苦痛を和らげる事が出来るのであれば、活用しない理由はありません。

 

 日本において、乳児用液体ミルクの販売が可能となったのは2019年です。

 欧米では乳児用液体ミルクが一般的でしたが、日本においては2019年以前は違法でした。

 液体ミルクは、粉からミルクを作る手間が省け、雑菌混入も防げると、いい事ばかりであるにも関わらず、日本において利用出来るようになったのはつい最近です。

 日本では、いまだに母乳神話があり「母乳で育てた方がいい。」等という意見を言う人が多いです。

 しかし、母乳が出ない事に悩んだり、母乳が出ない事で母親失格であると感じてしまう人も多く、これにより、新生児も衰弱してしまいます。

 さらに、母親の体内で作られる母乳の成分よりも、科学的な根拠に基づき、雑菌混入も防げている環境で作られたミルクの方が、栄養バランスも衛生環境も優れていると感じるのは私だけでしょうか。

 

 これらの背景にあるのが、日本人に押し付けられる自分の苦労を他人にもという空気であると感じています。

 次世代に押し付ける空気が、生まれた時から正当化を持って蔓延し、学校教育その後の日本社会にまで影響した結果が、現在の日本です。

 社会は、自分が味わった苦難を、次世代に味わわせないように試行錯誤しながら発展していくものです。

 しかし、後輩は先輩に従うという謎の常識がまかり通る日本の学校では、それを否定するような考えが横行しています。

 自分の苦労を他人にもという考えを取り除いていく事が、日本社会の発展に寄与されると感じます。