今日も脳細胞は増え続けている

 私が子どもの頃には、大人になると脳に新しい細胞は出来ないと言われており、科学の世界でもそれが定説でした。

 しかし、近年の研究により、大人になっても、脳細胞は増えていることが証明されてきました。

 マウスを、トンネルや回し車等、様々な遊具のある豊かな環境に1カ月おくと、マウスの脳細胞の数は15%も増えていました。

 この結果は、実験に使用したマウスが若かった訳ではなく、高齢のマウスにおいても、同様の結果が得られました。

 また、記憶の中枢、短期記憶を長期記憶に保存する役割を果たしている海馬から、新しい脳細胞が生まれていました。

 人においても、同様の効果が得れれるのだろうかと、科学者達は心躍らせたことでしょう。ただ、脳細胞が増えていることを確認するには、MRI等では出来ず、直接脳を顕微鏡で確認する必要があること、脳細胞の年齢を図ることが困難であること等の壁が立ち塞がり、中々確認が進まずにいました。

 様々な試行錯誤により、研究者達は、脳細胞の年齢を確認する術を見出しました。

 その結果、海馬の3分の1の細胞のDNAの中に、ドナーが生まれた日以降の脳細胞を確認することが出来ました。

 この実験から、毎日1400個の脳細胞が、成人の脳の海馬で生まれていることが証明されました。

 つまり、記憶の中枢である海馬から、毎日、それも四六時中、新しい脳細胞が生まれているのです。

 これは、癌末期のドナーからも、同様の結果が得られています。

 新しい脳細胞が生まれていることから、例え何歳になったとしても、成長することは可能であることが理解出来ます。