何を描きたいかは、描き始めてみなければわからない

 「これいいよって勧めても、実際プレイしてくれる人ってあんまいなくてさ。大体みんな楽しそうで終わりがちっていうか。ぶっちゃけ五条君がヌル女やってくれるなんて思ってなかったんだ。しかも制服ハンパない程細かいとこまで書いてくれてたじゃん。だから何かしたかったんだよ。お礼。五条君に。」

 『その着せ替え人形は恋をする』喜多川海夢の言葉です。

 

 「お勧めのアニメや漫画は何ですか?」「面白い本はありますか?」等と聞かれます。

 そこで勧めても、90%以上の人は、そのアニメや漫画は観ないし、本も読みません。

 

 文章を書く為の最大の秘訣は、書く事です。

 何を書くかというアイデアは、考えている時ではなく、書いている時に浮かびます。

 この法則は、人が行うあらゆる領域に当てはまります。

 ある商品がヒットするかどうかは、市場調査をしている時ではなく、実際に商品を市場に出した時でないとわかりません。

 70%の出来でも市場に出してしまい、その中で軌道修正を重ねていく事がヒット商品を生み出すプロセスです。

 他にも、セールスマンがセールストークが出来るようになるのは、セールス方法の研究を通してではなく、数えきれない程断られた経験をしている最中です。

 

 海の孤島に誰かを連れていくとしたら、誰を連れていきますか?

 パートナーでしょうか?友人でしょうか?それともあなたが尊敬する頭のいい上司でしょうか?

 

 孤島に連れていくのなら、ボート職人がいいでしょう。

 教授やコンサルタント、作家等は、頭で考えるだけで世界が理解出来ると思いがちです。

 しかし、現実にそんな事はあり得ません。

 歴史を振り返っても、頭で考えるだけで世界を変えてしまったのは、ニュートンとアインシュタインだけではないでしょうか。

 

 学問の世界でも、経済の世界でも、日常生活の世界でも、世界を理解するステップには、見通しのつかない世界と実際に関わる事が必要とされます。

 そのような原理を理解していても、考えるだけで先に進めない事はよくあります。

 それは、考える方が楽だからです。

 考えているだけなら失敗する確率は0ですが、行動すれば失敗する確率の方が高くなります。

 行動し始めた時等は、失敗する確率は99%以上かもしれません。

 ただ考えているだけであったり、他人の行動を批評するだけの人が多いのはこの為です。

 

 心理学には「自己内観における錯覚」という言葉があります。

 自分の思考を省みるだけで、自分が何に向いているのかや、何に最も幸せを感じるのか等を究明出来るという思い込みを現す言葉です。

 しかし、自分の思考を探ってみても、辿り着くのは、気分の波と、とりとめのない感情と、曖昧な思考という混沌とした泥沼だけです。

 

 「何を描きたいかは、描き始めてみなければわからない。」

 ピカソの言葉です。

 ピカソは、この言葉をそのまま行動に移し、生涯に渡り50,000以上の作品を生み出しています。

 

 何かを人に勧められたら、とりあえず勧められたものに挑戦する。

 何か考えが頭を過ぎったら、とりあえず行動してみる。

 そうする事で、あなたがこれまで出逢う事のなかった人生の扉に出逢い、その扉の向こうにはこれまで知らなかった世界が広がっている事を約束します。