「信じてるよ。お前ら。」
『ハイキュー』及川徹の言葉です。
「武器を持て」
マルセイユサポーターしかいないベロドロームに、フランスで一番熱いサポーターの声が響きました。
主役がいないクラシコよりも、北川さんの実況以外フットボールの質に欠けるミラノダービーよりも、力の差がつき過ぎてしまったマンチェスターダービーよりも、現在、ヨーロッパで最も盛り上がるダービーは、パリVSマルセイユのルクラシックかもしれません。
クープ・ドゥ・フランスにおいて、ベスト16においてフランスで最も盛り上がるパリVSマルセイユのルクラシックが実現しました。
フランスで最も熱いサポーターと、世界で最もお金が動くチームのサポーターとの衝突を避け、マルセイユホームのベロドロームにはパリのサポーターは入場禁止という異例の事態となりました。
インテルでは輝けなったサンチェスも、ローマでは輝けなかったユンデルも、アーセナルでは輝けなかったゲンドゥージもコラシナツも、そして、アタランタで居場所を失っていたマリノフスキーも、監督とサポーターから期待をされ、彼らが輝く戦術の上であれば、再び居場所を見つけ、輝く事が出来ます。
ある小学校の教師に、入学式が始まる前に、クラスの生徒の名簿を渡しました。
その名簿には、数名の生徒の前に〇印がついていました。
教師は学校側から「〇印がついている生徒は将来有望であるから、特に熱心に指導するように。」と言われていました。
教師は、その言葉を信じ、〇印のついた生徒に熱心に勉強を教えました。
生徒も教師からの信頼を感じ、教師の期待に応えようと懸命に勉強に取り組みました。
1年後、〇印のついた生徒の成績は、上がっていました。
実は〇印をつけた生徒は、特別能力が高い生徒ではなく、実験企画者がランダムに分けた生徒でした。
つまり、教師が期待を寄せ、生徒がそれに応えようとする関係性があれば、特別能力が高くない生徒でも、能力を上げる事が出来るのです。
フランスで一番熱いサポーターがいるチームを観ていると、ピグマリオン効果が、一流のスポーツ選手にも通ずる事がわかります。
そして、この試合では、現在希少種である生粋のリーダー、セルヒオ・ラモスの奮闘を観る事が出来た事が、とても嬉しかったです。
パリに来て、友好的な面が目立っていたラモスですが、完全アウェイの環境が彼を再びマドリーのカピタンにさせているかのように映りました。
この試合、パリにおいて、最もゴールの予感を感じさせたのは歴代NO1の選手でも、ブラジル代表の10番でもなく、ラモスでした。
私は、パリの試合を毎試合観ていますが、ネイマールが仲裁に入っている姿を初めて観ました。
圧倒的なリーダーは、どこに行っても、存在感が格別です。
そして、何か目的を達成する為の信頼とは、ただ信頼をしているというだけの生ぬるい関係性では成立しません。
その信頼の浦には「自分もやるよ。お前もやるよな。」という脅迫のような関係性が不可欠です。