僕に何かあった時、繋いでいってほしい意志も夢もあるよ。でも今の僕が僕の終わりだとして、みんないつか僕より大人になる日がくるわけじゃん。そんな中、一人くらい僕のこと忘れて、僕とは全く違う強さを持つ人間がいた方がいいと思うんだ2

 

 「オマエは、強いから人を助けろ。手の届く範囲でいい。救える奴は救っとけ。迷っても、感謝されなくても、とにかく助けてやれ。」

 『呪術廻戦』1話虎杖の祖父の遺言です。

呪術廻戦】虎杖「宿儺……もう一度やってみよう 誰かを呪うんじゃなくて誰かと生きるために」 : あにまんch

 

 『鬼滅の刃』煉獄の母の言葉同様、私は、上記の言葉は、呪いであると感じています。

 事実『呪術廻戦』の主人公・虎杖は、祖父の言葉を体現するような生き方をしていきます。

 呪いというと、殺す等のようなイメージがありますが、若しかしたら、そのような負の呪い以上に、上記のような正の呪いの方が、その人の人生を縛ってしまうのかもしれません。

 

 

 「俺は、正義の味方(ヒーロー)じゃない。呪術師なんだ。」

 「俺は、不平等に人を助ける。」

 『呪術廻戦』伏黒の言葉です。

 

 誰でも助ける虎杖と、助ける人を選ぶ伏黒。

 その生き様には大きな乖離が見られますが、2人は、大きく衝突もしませんし、それぞれの主張を否定するわけでもなく、互いの生き様を尊重し合っています。

 さらに、特別に仲が良いというわけではなく、現実世界でもあるような適度な距離感を描いしている所が、現実離れした世界観であるにも関わらず、どこか現実味を感じてしまう『呪術』の魅力を引き出しています。

 

 発行部数1億超えを超えた伝説の作品となった『呪術』も『ヒロアカ』同様、打ち切りの危機がありました。

 その危機の中、描かれたのが上記の「俺は、不平等に人を助ける。」の回です。

 ここから『呪術』の世界観が一気に深まり、瞬く間にJUMP期待の作品となり『ハイキュー』連載終了後は、現在に至るまで『ヒロアカ』とともに本当に面白い作品として『ONEPICE』を支えてきたのが、JUMPの歴史です。

 

 

 「‥いたんですか?」

 「いたよ。ずっとね。ちょっとお話するかい?君には、何度か付き合ってもらったし。」

 

 …灰原、私は結局何がしたかったんだろうな。逃げて、逃げたくせに、やり甲斐なんて、曖昧な理由で戻ってきて…

 「虎杖。」「ナナミン。」

 

 …駄目だ。灰原。それは違う。言ってはいけない。それは彼にとって呪いになる…

 「虎杖君。後は頼みます。」

 『呪術廻戦』真人と七海の会話、そして、七海の脳内言葉と、七海の遺言です。

七海の「駄目だ灰原、それは呪いになる」の意味を考察

 

 

 人生を決定するのは、自分の身にどんな事が起こるのかではなく、起こった事に対して、どのように対処するかです。

 人生においては、悪い事が必ず起こりますが、その経験にどのように向き合うのかは、あなたの心の姿勢が左右します。

 

 私達は「楽観主義」になる事も「悲観主義」になる事も出来ます。

 否「良い面を見つける人」「悪い面を見つける人」のどちらにもなる事が出来ます。

 

 

 「良い面を見つける人」は、常に、人生の明るい面を見ます。

 彼ら彼女らは、現実を直視しつつも、そのような中でも、その中においても恩恵を見つけます。

 

 「悪い面を見つける人」は、現実を見る事すらせず、絶えず誰かの所為にして生きています。

 「悪い面を見つける人」は、自分が被害者であると思い込んでいます。

 彼ら彼女らは、自分が、その状況を作り出している事に、気付いていません。

 

 たとえば、「悪い面を見つける人」は、どんな仕事に就いたとしても、悪い上司に遭遇します。

 どんな相手と結婚をしても、悪いパートナーに遭遇します。

 その原因は、自分にある事に気づきもせず、常に自分が被害者であると、自分ではない誰かの所為にして生きていきます。

 

 いつも最善の事が起こる事はあり得ませんが、自分の身に起こった事の中に最善の事を見出す事は出来るはずです。

 

 

 「…勝つ気かい?」

 「はっ。」

 …「先生とどっちが強い?」…

 …「うーん、そうだね。力を全て取り戻した宿儺なら、ちょっとしんどいかな。」…

 …「負けちゃう?」…

 「勝つさ。」

呪術廻戦】五条悟「勝つさ」←こいつ : ねいろ速報さん

 虎杖も五条悟に呪いをかけていました。

 

 誰もが呪いをかけられ、誰もが呪いをかけています。

 それが、私達が生きる世界です。

 その呪いは、「人を助けろ」という呪いかもしれませんし「後は頼みます」という呪いかもしれませんし「勝利を約束する」呪いかもしれません。

 

 これらの呪いが、あなたの人生を縛る事もありますが、これらの呪いがあなたの人生を支える事もあります。

 あなたの現実を作り出すのは、あなたが何時に意識を向けるかです。

 最悪と思えるような状況においても、何らかの恩恵を見つける事は、出来ます。

 

 これは、現実を無視するという意味ではありません。

 世の中は、良い事と悪い事が共存しているが、どちらに意識を向けるのかが大切であるという話です。

 

 

 「もう五条悟とか、どーでもよくない?」

 「何言ってんの?」

 「未来の話だよ。悠仁にはそう思ってて欲しくって。」

 

 「僕に何かあった時、繋いでいってほしい意志も夢もあるよ。でも今の僕が僕の終わりだとして、みんないつか僕より大人になる日がくるわけじゃん。そんな中、一人くらい僕のこと忘れて、僕とは全く違う強さを持つ人間がいた方がいいと思うんだ。」

 「忘れるわけないじゃん。なんからしくないっていうか、先生弱気じゃない?そんなんで大丈夫?」

 「くっくっ若いねぇ。これ以上ない強気だよ。期待してるよ。悠仁。」

 『呪術廻戦』最終話、五条悟と虎杖悠仁の会話です。

 

 

 『呪術』最終話、私達は、最強から「期待してる。」という呪いをかけられました。

 この呪いを、どのように解釈していくかは、あなたの「これから」に掛かっています。