…羽川翼という私の物語を、しかし私は語ることができない。というのも、私にとって私とは、どこまでが私なのかをまずもって定義できないからだ…
…ふと伸ばした足の爪先までが自分であるとはとても思えないーと記した文豪がいたはずだが。私だったら足を延ばすまでもない。心そのものが、自分のものであるのかすら疑わしい…
…私とはー私なのか?私以外にも私がいてもーそれは私で。そもそも、羽川翼という名前がすでに不安定だ。私は、幾度か名字が変わっている。だから名前なんて、ただの記号だとそう思ってきた。私が今の今まで自分と向き合ってこられなかった理由は、私が私の名前を自分のものとしてー自分を表すものとして認識していなかったからなのだろう…
『化物語』羽川翼の脳内言葉です。
友人と口論になった時、あなたはどのように考えますか?
「この問題をどう解決するか?」と考える人もいれば「私が悪い事をしたのだろうか?」と考える人もいると思います。
友人との口論が始まった瞬間に、脳が「他者と意見が異なる事は、普通の事であり、問題解決に向かう前向きなプロセスだ」という物語を描けば、私達はネガティブ感情に囚われずに、事態を冷静に対処する事が出来ます。
これに対し「私は駄目な人間だから、何かやらかしたのだろう」という物語を描けば、私達はネガティブ感情に囚われ、事態を冷静に対処する事が出来なくなります。
私達は、自分で考え、行動しているように思っています。
しかし、それはあなたが考えているわけではなく、瞬間的に脳が物語を描き、その物語にそった考えをし、行動をしているのです。
一瞬で作り上げる脳の物語は、あなたが何十年も蓄積してきた思考を脳が自動的に処理しるものです。
このように、私達の考えや行動は、脳が描く物語の影響を大きく受け、脳が描く物語は、私達の考えや行動を導く法律のような働きをしています。
脳で描く物語を、法律と考える事が出来るのであれば、その法律を活かす事も、活かさない事も出来るはずです。
鬱病や双極性障害等の精神疾患の多くは、脳が描く物語が、歪んだ物語となっている事が多いです。
脳が描く物語を、自分にとって心地よい物語にしていく事が、社会から自分自身を守る最強の盾となります。