「入社当時、仕事熱心だと印象づけた。今じゃ何時に来ようが、誰も俺の能力を疑わない。第一印象が命だ。しくじったら終わりだぞ。」
『SUIT』ハーヴィーの言葉です。
ある男性が、歯科医院の待合室にいます。
女性が入ってきて男性の隣に座り、笑顔で話し掛けてきました。
雑誌の特集の話や今朝起きた出来事等、他愛もない雑談を重ね、男性は女性との時間をとても楽しいと感じました。
そして、男性は、とても話しやすい女性に好感を抱き、仲良くなれると感じました。
あなたにも似たような経験はが、あるのではないでしょうか?
短時間話しただけにも関わらず話し方や応答から相手の人柄を掴んだように感じたり、相手の価値観を理解した気持ちとなり相手もそのように感じているはずだと思った事があると思います。
実際、人は、短時間のやり取りだけで、出逢ったばかりの人を深く理解したように感じるという特性があります。
冷静に分析すると、不思議な現象です。
相手に対するわずかな情報から、どのように私達はイメージを膨らませているのでしょうか?
初対面の人は、あなたのごく僅かな情報しか採集出来ません。
つまり、ごく一部のサンプルが、あなたを知る100%の情報となっているのです。
あなたは、自分の人生を100%知っています。
感情の起伏や行動、自身の性格等について、100%とは言えないものの、概ね理解しています。
しかし、他人はあなたの事を全く知りません。
僅かなサンプルが、判断材料の全てなのです。
そして、無意識のうちに、そのサンプルがあなたの全てを正確に表していると思い込みます。
冒頭の歯科医院の女性を思い出してみましょう。
彼女は、話し好きで、活発で、観察力に長けているように見えます。
それが男性が出逢った時の印象です。
すると、短時間しか逢っていないにも関わらず、常にそういう人なのだと思い込んでしまいます。
それは彼女が魅力的だからではなく、サンプルが僅かな為、否定する材料がない為なのです。
心理学の研究から、人は「後から得た情報」よりも「最初に得た情報」にはるかに比重を置く事が証明されています。
これは単純な真実であり、全てにおいて最初に得た情報は、その後の情報の処理に大きな影響を与えます。
人は、最初に思い込んだ事を、真実であると感じやすいのです。
この人の特性を理解し、逆に利用すれば、あなたは第一印象に魔法をかける事が出来ます。