「ーやはり囚人にも格というものがあり‥近く入獄された囚人ではー火拳のエース、七武海ジンベエ氏ーそして、元王下七武海クロコダイル氏などは、洗礼にも眉一つ動かさず、実に見事な入獄でした。」
『ONEPIECE』ドミノの言葉です。
チャンピオンズベスト16、パリVSバイエルン、トータルスコア0-2でパリが負けている後半30分、ラモスは、尊敬と怒りを込めて、ミュラーの肩を強く叩きました。
フットボール界に選手は数知れど、ミュラー相手に格の違いを見せる事が出来る選手は、ラモスしかいません。
今年も、パリのヨーロッパへの挑戦は、ベスト16で夢破れました。
2022年7月パリVS川崎、開幕前とはいえ、パリのチームとしての機能性の低さに、私は心配をしていました。
その心配とは、優勝が出来るかどうかの心配ではなく、ヨーロッパで戦う事が出来るのかという心配でした。
私のその心配は、ラモスにより払拭されました。
ラモスがいるおかげで、バイエルン相手にも、パリは戦う事は出来ました。
「助けないよ。君が勝手に助かるだけさ。」
『化物語』忍野の言葉です。
ある夫婦が、私の下にカウンセリングに来ました。
主訴は「息子を治してほしい」というものでした。
しかし、事務所を訪れたのは夫婦だけでした。
「何故、息子は来ないのですか?」と尋ねると、夫婦は「息子は問題があると思っていないんです。」と答えました。
このカウンセリングの着地点は、どこになるでしょうか?
私は、夫婦が息子の問題を横取りしている事にあると感じました。
息子の問題であるのにも関わらず、夫婦がお金を払い、悩み、心配し、世話をしているのです。
親としてそのような気持ちになる事は理解出来ますが、これでは息子が問題と向き合う事は出来ません。
パリVSバイエルン、パリにおいて最もゴールに近づいたのは、メッシでも、エムバぺでもなく、ラモスでした。
少なくとも、その日の運が少しでもラモスに向いていたのであれば、ラモスは、コーナーキックから2得点を決めていました。
最もチームに貢献してきたにも関わらず世界一のチームを追われ、前シーズンのほとんどを怪我で棒に振り、EUROもワールドカップ出場も果たせず、そして、スペイン代表からは永遠に呼ぶ事はないと告げられたラモス。
私の中のベスト11にラモスは、2017年から入っていますが、ここ数年のラモスには、選手として以上に、人としての魅力を強く感じています。
ラモスにとっては、メッシもエムバぺも、自分が頂点に立つ為に必要なプレイをするチームの一員でしかありません。
勿論、そこに尊敬はありますが、彼らの問題は彼らの問題であり、極論をすれば、セットプレイにおいてラモスに良いボールを上げられるのであれば、メッシでなくても、エムバぺでなくても、誰でもいいのです。
私は、実力でのみ繋がる、このプロフェッショナルな関係が大好きです。
チームが負けても、試合後には必ず相手選手と健闘を称え合い、スタジアムに足を運んでくれたファンに感謝を伝える。
負けれども、その格を失う事はありません。
今年もパリは負けましたが、私は、ラモスの生き様を見る事が出来て、満足しています。