君には何が見える?敵は何だと思う?

 

 「君には何が見える?敵は何だと思う?」

 「…はい?」

 「すまない…変なことを聞いたな。」

 『進撃の巨人』ほぼ初対面の調査兵団団長エルヴィンと調査兵団に入団したばかりのエレンの会話です。

 

 

 被験者である大学生をMRIにかけた上で、下記のいずれかの行動を選択してもらいます。

  ①報酬金を受けとる

  ②報酬金が増えるサイコロを転がす

 ここで、Aチームの被験者には、自分で選択してもらいました。

 Bチームの被験者には、経済学者が「報酬を受け取って立ち去りなさい」と助言しました。

 

 この結果、Aチームの被験者は、意思決定をする脳の中枢が活発に動いている事がMRIを通じて確認出来ました。

 これに対し、Bチームの被験者は、意思決定をする脳の中枢がほとんど活動していませんでした。

 つまり、決断や選択に際して、先にリーダーや上司が助言をしてしまうと、人は思考停止を起こしてしまうのです。

 

 

 助言は、タイミングが大切です。

 すぐに正解を教えてしまうと、相手は思考停止してしまう上に、まるで自分で選択をしたかのような勘違いを起こしてしまいます。

 答えだけを知っていても、本当に理解した事にはなりません。

 しかし、正解を教えてもらった人は、理解した気になってしまいます。

 すると、想定外の事が生じた時に、自分では何も選択をする事が出来なくなってしまいます。

 

 自分で考えて、自分で動ける人を育てる為には、助言をする前に、まず自分なりに考えて、結論を出してもらう事が必要となります。

 「どうしたらいいでしょうか?」と質問をされてらエルヴィンのように「どうしたらいいと思う?」と投げかけましょう。

 

 これは、仕事だけではなく、パートナーとの関係性や子育て、友人との関係においても、有効です。

 他者と関係を持つ時、どちらかに比重が掛かり過ぎている関係は、いずれ破綻してしまいます。

 そうならないようにする為には、あなたがあなた自身で考え、選択し、行動する事が必要です。