「俺は、バレーを続けるか迷ったりして、相談に行った。でも、迷ってるなんてポーズだって、すぐ見抜かれた。」
「自分の力の上限をもう悟ったって言うのか?技も身体も精神も、何ひとつ出来上がっていないのに?」
「自分より優れた何かを持っている人間は、生まれた時点で自分とは違い、それを覆す事など、どんな努力・工夫・仲間をもってしても不可能だと嘆くのは、全ての正しい努力をしてからで遅くない。ただ、自分の力はこんなものではないと信じて只管まっすぐに道を進んでいく事は、自分は天才とは違うからと嘆き諦める事より、辛く苦しい道であるかもしれないけれど。」
「俺は、この人から学ぶって決めた。そしたら翌年から、アルゼンチンに戻っちゃってね。まあ海外には絶対挑戦する事になるし、それがちょっと早くなっただけ。行きたい舞台(ばしょ)は、どうせ変わらない。」
『ハイキュー』及川徹とホセ・ブランコ、そして再び及川徹の言葉です。
IQや学力テストで計測される能力は「認知能力」と呼びます。
「ペリー幼稚園プログラム」は、3~8歳頃までに「認知能力」を上昇させる効果を持ったものの、その効果は8歳頃で失われ、決して長期間に渡り持続するものではありませんでした。
しかし「ペリー幼稚園プログラム」は「認知能力」に短期的な影響しかもたらさなかったにも関わらず、学歴・年収・雇用等の面で、長期的な効果をもたらしています。
この理由は、どこにあるのでしょうか?
「ペリー幼稚園プログラム」により向上したのは「非認知能力」と呼ばれるものでした。
「非認知能力」とは、IQや学力テストで計測される「認知能力」とは異なり「自制心がある」「忍耐力がある」「知的好奇心がある」等のような、人の気質や性格的な特徴を指します。
「非認知能力」は「認知能力」の形成にも大きく関与し、将来の学歴・年収・雇用形態などにも大きく影響をする事が、わかっています。
「自制心」とともに重要な「非認知能力」として挙げられるのが「やり抜く力」です。
「やり抜く力」とは、遠い先にあるゴールに向けて、努力し続ける事が出来る気質の事です。
仕事においても、勉強においても、人生においても「やり抜く力」がなければ、どんな才能があったとしても、成功する事が出来ない事は、想像に難くありません。
しかし「やり抜く力」を持つ事が出来る人は、想像以上に、少ないものです。
100人の人がいたら、何かを始める事が出来る人は10人、さらに、それを続ける事が出来るのは1人程度ではないでしょうか?
つまり「やり抜く力」は、鍛えなければ、身に付かないものなのです。
では「やり抜く力」は、どのように身に付ければいいのでしょうか?
☆「認知能力」には、年齢的な閾値が存在する為、伸ばす事には限界がある
★「非認知能力」は、年齢的な閾値が変化する為、大人になっても伸ばす事が出来る
つまり「非認知能力」は、鍛える事で、大人になっても、伸ばす事が出来るのです。
スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエックは「やり抜く力」を伸ばす為には、その人の世界観が大切であると主張しています。
「自分の能力は元々の生まれ持った能力ではなく、努力によって伸ばす事が出来る」という世界観を持つ事が出来る子どもは「やり抜く力」が強い事が、研究により明らかになっています。
ドゥエックによれば、親や教師等から、定期的に上記のようなメッセージを伝えられた子どもは、上記のような世界観を獲得し「やり抜く力」が強くなる事が証明されています。
その結果、学校の成績も高い事が、明らかになっています。
これに対し「やり抜く力」を弱める世界観も、存在します。
★年齢により記憶力は低下する
上記の記事を読んだ人と、読まなかった人では、記事を読んだ人の方が、実験において、記憶している単語量が低くなるという結果が出ています。
★インドの農村の子ども達に、カースト(社会的身分)を思い出させてからテストを受けさせる
上記の様に、カーストを思い出させてテストを受けさせた時は、そうでない時と比較し、テストの点数が低くなりました。
親や教師等から「年齢とともに記憶力は低下する」「社会的身分が低いと成功が出来ない」等のような世界観を定期的に受けてきた子どもは「やり抜く力」が育たなくなるのです。
「やり抜く力」を育てていけば、あなたが考える程度の世界において、出来ない事等、存在しません。