「うわあ!?誰、あたしのボール飛雄にあげたの!!」
「うわあ!?ごめん。いつの間に!?」

『ハイキュー』影山の乳児期の回想です。
♦子どもの教育にお金や時間を掛けるとしたら、どのタイミングがいいのでしょうか?
『教育から得られる利益-教育に支払う費用=子どもが将来得る事が出来る収益』
教育を経済活動として捉えると、将来に向けた「投資」として解釈する事が出来ます。
「投資」を考える時、誰もが「収益率」を考えます。
教育を「投資」という視点で見た場合も同様で、親が、子どもに対する教育に「投資」をする時には「収益率」を考慮する事は、当然の思考となります。
そして、教育を「投資」という視点で見た場合、親が出来る事は「収益率」を最大化する事にあります。
勿論、子どもに教育を受けさせる理由は、金銭的な動機に限られません。
しかし、その場合も、たとえば「学びを得る喜び」「知らない場所に行く興奮」等も「収益」に含めればいいのです。
☆1,000万円
★2,300万円
☆:幼稚園から大学まで、全て公立の場合の教育費
★:幼稚園から大学まで、全て私立の場合の教育費
日本政策金融公庫の調査では、子どものいる家庭は、年収の40%を教育費に使っているという結果が出ています。
♦何故、親は子どもの教育にお金を掛けるのか?
子どもに楽しい経験をさせてあげたい等の気持ちはあるものの、教育を受ける事により子どもの将来の収入が高くなるという期待が、親の本音ではないでしょうか?
「飛雄、今日は試合の日だから、あんまりボールには触れないよ?」
「いい。体育館すき。」
「へえ~どこが好き?」
「色とにおい。」
「わかる~。」

『ハイキュー』影山の幼少期の回想です。
子どもに掛ける教育費は、幼稚園<小学校<中学校<高校<大学と、上がっていきます。
学資保険等も、大学入学時に、一時金を受け取る形式が、一般的です。
しかし、これは、子どのへの教育を「投資」として考えた場合、年齢が上がるにつれて「収益率」は低下していきます。
♦最も「収益率」が高くなるのは、小学校に入学する前の「幼児教育」である

「人的資本投資の収益率」は、子どもの年齢が、小さいうち程、高いです。
就学前が最も高く、その後は、低下の一途を辿っていきます。
一般的に、最も多くの教育費が掛けられる高校や大学の頃になると「人的資本率の収益率」は、就学前と比較すると、半分以下となります。
♦「人的資本」への投資は、子どもが小さいうちに行う
教育を「投資」と捉え、その「収益率」を最大化するには、これが王道です。
「英会話」で例えると、わかりやすいでしょうか?
♦英語を話せる人を、頭の良い人だと思いますか?
答えは「NO」です。
英語を話せる人は、頭の良い人ではなく、子ども時代に、英語を話す環境にいた人です。
その証拠に、日本で暮らしていれば、かなり知的能力が低い人でも、日本語を話す事が出来ます。
つまり、子ども時代に、言語を脳にインプットする事は、人が生まれ持って備えているものなのです。
その為、私は、戦後の日本が10年程度アメリカの占領下に置かれ、公用語を英語にする等の措置を、アメリカがしてくれていれば、現在日本人の多くの人は、他の国同様、英語を話す事が容易になったのではないかと推測しています。
「ー飛雄、試合後半、わざとサーブ弱くした?」
「!!!!‥‥‥。」
…わかりやすい‥あんまし良くない事だったと思っている…
「どうして、そうしようと思った?」
「‥試合が、早く終わっちゃうと思った。もっとずっと、試合してたかった。」
「‥強くなれば、どんどん試合できるよ。」
「‥!?」
「どんどんバレーできるよ。強くなれば、絶っっっ対に、目の前に、もっと強い誰かが現れるから。」

『ハイキュー』影山の幼少期の回想です。
シカゴ大学のヘックマンが行った「ペリー幼稚園プログラム」と呼ばれる就学前教育プログラムがあります。
★幼稚園の先生は、修士号以上の学位を持つ児童心理学の専門家に限定
☆子ども6人を、1人の先生が担当するという少人数制
★午前中に2,5時間の読み書きや歌を中心としたレッスンを週に5日、2年間受講
☆1週間に1回、1,5時間家庭訪問をし、親にも学びの機会を提供
低所得のアフリカ系アメリカ人の3~4歳の子どもを対象に、上記の質の高い就学前プログラムを実施しました。
「ペリー幼稚園プログラム」では、入園資格のある子どものうち、ランダムに選ばれた58人の子ども(処置群)と、65人のランダムに選ばれなかった子ども(対照群)を比較するという研究手法をとっています。
この研究は、対象者が少ないものの、その後40年間もの間、追跡調査が行われた事で、現在においても、私のように多くの人が引用をしています。
☆6歳時点のIQ → 高い
★19歳時点での高校卒業率 → 高い
☆27歳時点での生活保護受給率 → 低い
★40歳時点での所得 → 高い
☆40歳時点での逮捕率 → 低い
「ペリー幼稚園プログラム」にランダムに選ばれた子ども(処置群)には、ランダムに選ばれなかった子ども(対照群)と比較し、上記のような特徴がみられました。
就学前の「幼児教育」に参加した子ども達は、6歳時点でのIQが高かっただけではなく、その後の高校卒業率や所得が高くなり、その一方、生活保護受給率や逮捕率も低かったのです。
就学前の「幼児教育」には、子どもが大人になってからも、長期に渡り効果が持続する事が、証明されたのです。
就学前の「幼児教育」への支出は、雇用や生活保護の受給、逮捕率等にも影響を及ぼします。
この事から、就学前の「幼児教育」を受けた子どもやその親だけではなく、社会にとっても、ポジティブな影響をもたらすのです。
このような社会全体へのポジティブな影響を、ヘックマンは「社会収益率」と呼びました。
「ペリー幼稚園プログラム」の「社会収益率」は、年率7~10%にもなると、推計されています。
「社会収益率」が7~10%にもなるという事は、4歳の時に投資した100円が、65歳時点において6,000円~30,000円にもなり、社会に還元される事を意味します。
幼児教育には、これ程の、社会への影響があるのです。
政府が、雇用保険の給付や生活保護の抑制、犯罪抑止等に、小手先の政策に多額の支出をするよりも、幼児教育に財政支出をする事の方が、見返りの良い投資であると考える事が出来ます。
「居るぞ!!!」
…強くなれば、絶っっっ対に、目の前に、もっと強い誰かが現れる…
