「君達が合格できたのは、父親の経済力。そして、母親の狂気。」
『ニ月の勝者』黒木の言葉です。
子どもの学力に、最も大きな影響を与える要因は、何でしょうか?
「どのような教育がいいか、という問いへの回答は、教育される本人の特性や能力、環境等様々な要因によって左右される‥。自分が病気になったときに、まず長生きしているだけの老人に長寿の秘訣を聞きにいく人はいないのに、子どもの成績に悩む親が、子どもを全員東大に入れた老婆の体験記を買う、という現象が起こるのは奇妙な事態だとは思わないだろうか。」
『統計学が最強の学問である』の一説です。
不思議なもので「教育」という分野に関しては、全くの素人でも、自分の意見を述べたがるという特徴があります。
子育てに成功したお母さんの体験談が、多くの人に求められるものの、そうした体験談の多くは、データや数字等が抜け落ちている為、科学的ではありません。
科学的ではないという事は、再現性がないという事であり、子育てに成功したお母さんの体験談を、あなたが実践しても、子どもの成績が上がる事は、殆どないという事です。
子どもの学力に最も大きな影響を与える要因は、親の年収と学歴です。
文部科学省の調査において、親の年収や学歴が高い程、子どもの学力が高い事が示されています。
昨日、JAXAに行く事を目的とし、茨城県に行ってきました。
その後、近くの道の駅に行きましたが、全てではありませんが、茨城県に住んでいる子育てをしている親の言葉遣いや子どもへの関心の度合い・体型等が、都内に住んでいる子育てをしている親と大きく違う事に驚きました。
東京大学に入学した子どもの親の平均年収は、1,000万円です。
2023年の日本人の平均年収が414万円、中央値は360万円という事からも、東京大学に入学した子どもの親の平均年収が、並外れて高い事が理解出来ます。
因みに、年収1,000万円を超える人の割合は、5%程度です。
しかし、親の年収や学歴が低くても、学力が高い子どもは、少数ながらも、存在します。
そのような子どもの特徴は、何なのでしょうか?
文部科学省は「全国学力・学習状況調査」という学力テストの結果を用いて、子どもの学力と家庭環境に、どのような関係がみられるのかを分析しています。
その分析によると「親の年収が低くても学力が高い子どもの特徴は、家庭で読書をしている事」という結論を出しています。
この結果を聞き、多くの人は「子どもに読書をさせる事が大切だ」等と思います。
しかし「子どもに読書をさせる」事が、正しいわけではありません。
その理由は、2つあります。
1つ目は「因果関係」と「相関関係」を、ごちゃ混ぜにした表現である事です。
★因果関係:Aという原因によりBという結果が生じた
☆相関関係:AとBが同時に起こっている
「相関関係」は、2つの出来事のうち、どちらが原因で、どちらが結果であるのかを、明らかにするものではありません。
その為「相関関係」がある事が、必ずしも「因果関係」がある事を、意味するわけではないのです。
つまり、読書をしている子どもの学力が高い(因果関係)ではなく、学力の高い子どもが読書をしているに過ぎない(相関関係)である可能性が、極めて高いのです。
2つ目は「第三の要因」が存在する事です。
「第三の要因」とは、たとえば「子どもに対する親の関心の高さ」等です。
子どもに対する関心が高い親は、子どもが勉強するように促すでしょうし、子どもと一緒に本を読む事を楽しむ可能性が高いです。
親の子どもに対する関心の高さが、子どもが学力が高くなったり、読書をする事、双方をもたらしているにも関わらず、あたかも、学力と読書の間に「相関関係」があるかのように見えてしまう。
これを「見せかけの相関」と呼びます。
☆テストで良い点を取ったら、御褒美をあげる
★本を1冊読んだら、御褒美をあげる
子どもの学力を上げる効果を持つのは、どちらでしょうか?
この続きは、また後程。